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※パラレルでエーゾロ。少しエースがヤンデレくさい…か?15禁で。




もとはと言えば、ゾロはルフィの友達だった。



好奇心旺盛でなんでも拾ってくるルフィは、一見するとガラクタのような(訂正、ガラクタに違いない)物や虫や動物なんかをほぼ毎日のように拾って帰ってきた。その度に祖父であるガープが却下し元の場所へ返してくるように諭す。そんなやり取りが日常茶飯事で、いい加減我が弟は学習しないだろうか、とエースは思っていたのだが。学習するどころか彼はとうとう……。



「…ルフィ?そりゃなんだ?」

「あ!エース!これ、俺の!」


ルフィが満面の笑顔で指差したその先には、緑の髪の毛の少年が立っていて。
エースは、とうとうこの馬鹿は人間を拾って来たのか、と思った。



と、さすがにそんなわけもなくよくよく話を聞けば本日メデたく仲良くなった隣のクラスの子らしく。
仲良くなったいきさつはルフィの支離滅裂な説明ではよくわからなかったが、ルフィが楽しそうに少年―ゾロ―に話しかけてるのを見るとかなり気に入ったのだろうとエースにも伝わってきた。ゾロはエースに対しては多少緊張したような表情で挨拶をしてきた。どうやら剣道をしているそうで、礼儀正しいゾロの態度はエースの目に好印象に映った。エースは仲良くなりたいな、と純粋に思った。





それから数年後。

エースの“仲良くなりたい”という純粋な気持ちは、思春期を経てどうやら他のいろんな欲をくっつけてしまったらしい。






「はぁ…っ、はっ…」

ゾロは走っていた。
ただ走っているわけではない、ある人物から逃げていた。



ある人物とは、ここ最近様子のおかしかった親友の兄で。


“ゾロ、鬼ごっこしようか”


ここ数ヶ月くらいやけに避けられていると思ったら、高校が休みのある朝、突然彼が家の玄関前にいて。


“今から日没までに、ゾロがこの廃ビルから出られたらゾロの勝ち”


痛いくらいの強さで腕を引かれて、わけもわからないまま数年前から放置されている廃ビルに連れてこられて。


“日没までにゾロが廃ビルから出られず、俺が捕まえたら俺の勝ち”

その5階建ての廃ビルの階段を上り、屋上まできてから突然告げられたゲームのルール。


“勝った方が負けた方の言うこと何でも聞く。…昔ルフィも交えてやったろ?久々にやろうぜ”


ふざけるな、と言おうとしたその声は寸前で喉にひっかかり出なくなった。…なぜなら。



“…ちなみに俺が勝ったら、…ゾロを俺の恋人にするから…”





彼の目は、完全に据わっていた。






ゾロは、弾かれたように走り出し、屋上を飛び出す。
走りながらもゾロの脳内ではエースの言葉がリフレインし続ける。
理解はできてない、けれど逃げなければならない。逃げ切らなければならない。それだけは確かだった。





屋上から飛び出してきたのだ、階段を下りていけば出口に着くはず。
ゾロはそう考え、ひたすら階段を下りる。一番下まで行き、そこから出口を探して動きまわったのだが出口は一向に見つからなかった。どういうことだ…ともう一度階段まで戻ろうとしたが今度は階段すら見当たらない。
ゾロは焦り、キョロキョロと見まわしながら走り続ける。

「!あ、った」

やっと階段を見つけ、もう一度登ろうと手すりに手をかけた時。


タン タン タン


微かだが足音が聞こえた。ゾロは一旦階段を登るのを断念して近くの部屋に入り、無造作に置かれていたデスクの陰に身を隠した。

息を殺す。大丈夫、部屋なんていくつもあるんだ、そんな簡単に見つかるはずがない。
ゾロはそう自分に言い聞かせて、足音が遠くなるのを待つ。
…こちらに近づいてきた足音が遠くなって聞こえなくなった。



ほう…と一息ついて、ゾロはデスクから身を起こす。
物音を立てないように、周りの音へも注意を払いながら、ゾロはドアノブに手を置いてゆっくりと回しながら開けて。







そこまでは周りは静寂に包まれていた。

  ガッ!

だから、いきなりの出来事にゾロは頭がついていかなかった。





「み〜っけ」


気付けばゾロの目の前に。
目をギラつかせながら笑う、エースがいた。





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