@






ある真夜中のこと。
錨をおろし、サウザンド・サニー号は静かな波の上で停止中。今夜の見張り役はフランキーだ。


ナミは一度は眠りについたのだが、ふと目が覚めてベッドから身体を起こす。横のベッドになんとはなしに目をやると時間的にほぼ同時に床に就いたはずのロビンがそこにはおらず、ものけの空になっていた。そういうことは彼女が真の意味で仲間になってからも度々あって、翌日どこにいたのか聞くとにっこりとほほ笑みながら“どうしても気になることがあって一晩中本を読んでた”、と返ってくるのが常であった。今夜もその類だろう、そうナミは思い心配等はしていなかったのだが、なんだか自分も目が冴えてしまったので便乗しようかな、とパジャマの上にカーディガンを羽織って女部屋を出た。


図書館へ行こうと甲板に出ると、ダイニングの窓から明かりが零れているのに気付く。ロビンだろうか?それとも他のクルー…性懲りもなくルフィが食べ物を漁っているのかもしれない。ナミは現場を取り押さえてやろう、とゆっくりとダイニングの入り口に近づき、そっとドアを開けた。覗くと、そこには。



「あら、ナミ」

「…え、ロビン…?」



そこにいたのは。
ソファの前に座って、しー、と口元に指を立てて微笑むロビンに。


「……ゾロ…?」


無造作に胴体に毛布だけかけてソファに寝転び、寝息を立てているゾロだった。
ロビン側になっているゾロの片方の手は、ロビンに握られていて。少し不可思議な光景がそこにはあった。


ナミはしばし呆けていたが、ロビンの手招きに気付きそろそろと2人に近づく。疑問だらけなのだが、ナミはあまりに予想外のことでどこから訊ねていいものか…と困惑してしまう。そんなナミの様子に気付いたのだろう、少し困ったようにロビンは微笑んだ。


「ゾロには内緒ね。こんな場面誰かに見られたってわかったらヘソを曲げて、また一人で抱え込むから」

「…どういう、こと?」



眉を寄せて訝しがるナミにロビンは緩く微笑んで、すぐには答えず目をゾロへと向ける。ナミはそれに促されるようにゾロの顔を今度はじっくりと見た。…少しだけ青ざめているように見えて、ナミはハッとする。スリラーパークでダメージを強く残したゾロ。昼間見る分には普段の、鍛錬と昼寝で過ごすいつも通りのゾロに見えたのだが、やはりそう簡単には全回復しないということだろう。ナミの顔は知らず渋面となる。ナミのその表情を見て、ロビンも哀しげに笑った。


「…ねぇ。ロビンは、知ってるの?」


何を、とは言わなかった。彼女には通じると思ったから。



「……彼は望まないわ」



返ってきた答えは、想定内。ナミは口を尖らせて「知ってるわよ、そんなの」と呟いた。



「妬いてる?」

「…違うわよ。変なこと言わないで」

「ごめんなさい。ふふ」



謝罪の言葉を述べながらも笑うロビンをジト目で見つつ、ナミは彼女の横に並んで座って、そっとゾロの頭を撫でた。ん…と鼻をならしてナミの手に頭をこすりつけるゾロに、少し気分が浮上した。ロビンが「あら」と声をあげる。


「可愛い。羨ましいわ、ナミ」

「何よ、ロビンは手を握ってるじゃない」

こっちは私の、とツンと告げるナミ。残念、という割に残念そうに見えない穏やかな笑顔をロビンは浮かべる。




「…ゾロのバーカ…」

こんな大馬鹿者には。

「あら、いいわね」

「でしょ?」

起きてないことを悔しがるくらい。

「「おやすみなさい。いい夢を」」

いい思いさせてやるんだから。



2人は交互に、男にしては滑らかなその頬にそっと口付けを送る。
ちょっとだけ、ゾロが笑ったように見えた。



それは彼は知ることはないけれど、思いやりのキス。


3:頬の上に厚意のキス

ロビンが真の仲間になったから、ゾロは懐くと思うんだ。ロビンは何も聞かない癖にゾロをわかっていて、ゾロは悔しいと思いつつもたまにちょっとだけ甘えそう。
ナミはロビンよりずっと長く一緒にいるんだけど、年下だからそうはいかない。それがナミを怒らせるってわかってても、弱ってるところは見せなさそう。
そんな妄想のもとに書きました。ほっぺは女の子って決めてました!…あ、あくまで、ロビゾロでナミゾロですぜ(笑)



- 3 -


[*前] | [次#]




titleへ
TOP


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -