ガタン!
「っ!」
知らず後退りしていたゾロはデスクに行き先を阻まれ、エースはゾロの身体を囲うように両の手をデスクに置く。
ゾロが後ろに身体を仰け反らせる分、エースが距離を詰める。…が、まだエースはゾロの身体には触れていない。
「ゾロ、捕まえていい?」
「…エー…ス…」
逃がす気など、ない癖に。
「ゾロが決めていいよ」
「…っ、」
まっすぐにゾロを見つめるエースの目は、こんなに欲に濡れているのに。
…いや、欲があるからこそか…。
「ゾロ…」
どんな形であれ、ゾロ自身もエースを欲していると。
そういう形にしなければ意味がないから。
ゾロは気付いた、気付いてしまった。
くしゃりと顔を歪ませて、ゾロは苦しげに声を絞り出す。
「…卑怯、だ…っ」
「うん」
「…ここ、ずっとお前…俺のこと避けてて…」
「うん…」
「お前…俺が拒否したらまた俺を避けだすんだろ…?」
「…だって…、俺のにならないなら、優しくしても意味ないだろ?」
“ほら、ゾロ。俺のことスキでしょ?”
“俺に避けられたら悲しいと思うくらいに、俺のことスキでしょう?”
悲しげに潤むゾロの翡翠の瞳を確認して、エースは本当に嬉しそうに笑った。
◆◇◆
「…っ、あ…」
誰もいない家の、エースの寝室で。
ゾロはベッドの上に座らされていた。
ゾロの目の前にはエース。エースはそっとゾロの腕をとって、まず手首に口付ける。ピクリ、とゾロは身体を震わせながらも甘んじてそれを受けた。
エースは唇でゾロの腕を巡り、徐々にあがっていく。Tシャツで隠されているところまで口付けてしまうと、エースはゾロの肩口に顔を埋め。ゾロの身体はゆっくりとエースに押し倒されて。
「ゾロ…俺のゾロ…」
「う、あ…」
甘い甘い、エースの声。耳元で柔らかに囁かれて。
首筋にも温かいものが這って、時折ピリっとした痛みが走る。
これでよかったのか、ゾロにはわからない。今はただでさえ与えられる甘さで思考が乱れてしまい、もう何も考えられなかった。
ただ、わかるのは。エースはこれでもう自分を避けたりしないだろう、ということだけ。
「ルフィに言わないとな。『これはお前のじゃなくて、もう俺の』って」
どんな顔するかな、アイツ。
エースはゾロの首にもう一つ花弁をつける。
小さく啼くゾロに舌舐めずりしつつ、エースはゆっくりと笑んだ。
欲にまみれた唇で、触れるはあなたの腕と首。
7:腕と首に欲望のキス
唇に全く触れない感じが一方的な想いの証拠だと思うけど…。止められない、想い。