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(…しまった……)




君は信じないだろうけど。

こんなつもりじゃ、なかったんだ。





…あ、まぁ、でも。
多少なりとも下心があったことは認めるよ、うん。

でもさぁ、まさかこうなるとは、さすがの銀さんも予想外。








「…ど…いう、つもりだ……」

「いや、その、不可抗力というか…」



1人歌舞伎町をぶらぶらしてた俺は、見回り中の土方を見つけて、うれしくなって。
真剣に町を見回しながら歩く土方にふと悪戯心が湧き上がり。
驚かしてやろうと、気配を殺して後ろからそーーっと土方に近付いていったんだ。



吃驚した土方の可愛い顔を見ようと思ったのに。




俺はあと数センチで土方に触れるところで、躓いて。





思いっきり土方の背中にのし掛かってしまったのだ。
俺ってばおっちょこちょい♪(てへっ☆)






「土方、よくそのまま前に倒れこまなかったねー。えらいえらい」

俺は土方に後ろからのし掛かったまま、土方の頭を撫でる。相変わらずさらさらの黒髪だ。気持ちいい。



「っ!ふざけんなっ!いい加減、離れろよっっ!」



土方はそう叫んで暴れ出した。わわわ、落ち着けよ!



俺は振り切られそうになったけどなんとか堪えて、暴れ出した土方の腕ごと後ろから強く抱きしめながら。

土方の耳元に唇を寄せてそっと囁く。








「土方、」

「!!?」



驚いて抵抗の止んだ身体にさらに強く抱きついて。
土方の耳元に寄せた唇をそのままゆっくりなぞるように首筋へ巡らす。


ひくん、と震える身体に愛しさを覚えながら。
土方の肩口に自分の顔をこすりつけて。






「……少しこのままで…」

「…………こんな…」

「ん?」

「公衆の面前ですんじゃねぇぇぇ!!!」





土方は俺を見ようと首を苦しそうに後ろに曲げて、真っ赤な顔で睨みつけてきた。


そんな可愛い顔見せられちゃ、銀さん止まりませーん!




「それって、月並みな文句で返すと、『公衆の面前』じゃなけりゃOKってこと?」

「!?は、あ!!?」

「でもぉ、銀さんは、『土方は俺のモノ』宣言したいので。よって土方の意見は却下!土方をギュウ続行〜」

「ぎゃあああ!!離せ、馬鹿!!誰がお前のだっふざけんなぁぁぁああ!!!」





土方の細い体躯をこれでもかと抱きしめて。
その真っ赤に染まった耳にそっと口付ける。愛情を込めるだけ込めて。









いい加減、諦めて認めなよ、土方?
好きでもない相手にここまで好き勝手やらす人間じゃないだろ、お前。





俺は。
土方も俺に抱きついてくれる日が来ればいいのに、と。
柄にもなく祈ってみた。








END



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



このあと沖田に見つかって土方は救出されます。

もう少しで銀時の想いが実りそう。土方はもうすぐ落ちるよ!がんばれ、銀時vv


'08.3.17 ブログ掲載
'10.10.25 サイトUP



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