「あっ!やっ…め…っ」
「トシ……」
「こ…近藤さん…っん!」
夜の見回りから屯所に戻ってきたトシを見かけた俺は、直ぐ様トシの部屋へ向かった。そして何の声もかけず、いささか乱暴に障子を開ける。
障子を開ける音で驚いて振り向いたトシは、ちょうど隊服から着流しに着替えている最中だった。
下はまだ隊服のズボンを履いたままだったが、上半身は裸で着流しをただ羽織っただけ。
そのトシの姿に、俺は頭に血がのぼって……。
「……ふぅっ…ん…っ」
その自分より細い体躯を腕に抱き込んで、無理矢理口付けた。
苦いタバコの味とトシの体臭。
頭がクラクラした。
「はっぁ…く、る…し」
「トシ……」
離れがたかったが、トシの苦しげな顔に気付いて慌てて口付けを解く。
トシの体は俺が支えなければ倒れてしまうほど弛緩してしまった。腰と背中に両腕を回し、しっかりと支える。
「お帰り、トシ」
「……」
「あれ?返事は?」
「…ただいま…」
トシはくいっと含みきれなかった唾液のついた口まわりを着流しの裾で拭く。上目遣いで俺を睨んでいるが、整わない息遣いと赤くなった目元、潤んだ瞳ではまったく効果がない。
「なんなんだよ、いきなり…。こういうのやめろって言っただろうが」
「こういうのって?」
「だから、…キ…ス…だよ」
「俺はトシにキスしたかったんだ」
「それをやめろってーの!女じゃねぇんだぞ?」
「知ってるよ、トシ」
何を今更。トシはどっからどーみても男だ。
恐くて生意気で強くて、
綺麗でかわいくていい匂いがして……。
「誰がかわいいだこらっ!」
「え!?トシ、エスパー?」
「全部あんたが声に出してんだよ!ふっざけんなっ!」
大分力が戻ってきたらしく、離せっ、とギャーギャー騒ぎだした。……うーん、それはかわいくないぞ。
「トシは綺麗だよ」
耳元で話し掛けてやると、ぴたっと抵抗が止んだ。そのまま耳元で話し続ける。
「いつも怒ったような顔してるけど、綺麗なんだよなー?」「うっ…し、知らね……」
「本当は綺麗で、本当は優しくて、トシは本当いい子だね」
「あぅっ!」
ぺろ…て耳たぶを舐めてやれば、トシは体をびくつかせてあまい声を発した。
ほんと、かわいい。
そのまま俺はトシの耳を弄んだ。耳たぶを柔らかく甘噛みして、耳の穴に舌を差し入れる。
「やっ!それいや!あっ!」
「嘘ついちゃだめだぞ、トシ。…気持ちいいよな?」
「ちがっ……あっ!」
トシの膝ががくがくと震え始めた。縋るように俺の肩を両手で掴み、座り込むのを必死で耐えている。
残念だけどトシ、俺はおまえの弱い箇所わかっちゃってるし。
止めとばかりに俺はトシの背中を上から下へ一本指でなぞった。
「ひゃんっ!」
突然の別の刺激で耐えきれなくなったトシは、そのままぺたんと座り込んでしまった。