パン! パン! パーン!!
いきなりの破裂音に俺は吃驚して、固まる。
そして、聞こえてきた声。
「「銀さん(ちゃん)、誕生日おめでとうございます(アル)!!」」
…え? は…? なに、なに、……なにこれ???
俺は、目の前に広がった光景にただただ驚く。
破裂音はクラッカーだったらしく、細い紙テープがちらちら床に落ちて火薬の匂いが少し香る。
しかし、火薬の匂いよりなんか美味そうな匂いのほうが勝ってる…。
いやいやいや、ちょっと今どっかに飛んでた、俺!
「え…と?何、なんだって……?」
まったく状況についていけない俺に、新八と神楽は顔を見合わせてクスクス笑った。
「だから、今日は銀ちゃんの誕生日アルよ」
「10月10日だってお登勢さんから聞いたんですよ。僕たち、銀さんの誕生日をお祝いしたくて、その準備のために今日は銀さんにだけ仕事してもらったんですよ。…すいません、お疲れ様でした」
「さんらいずパーティー、大成功アルな!!」
「サプライズ、ね。神楽ちゃん」
と、ニコニコ笑う新八と神楽。
……驚いたも驚いた……。
そしてすっげぇ………じーーーんとする。
なんだよ、こいつら…。
こんな、こんなことしてくれる人間に育ってくれるなんて。
父ちゃん、ほんと嬉しいよ。。。。。
なーんて俺が感動と混乱のあまりよくわかんない思いに陥ってるとき。
後ろから、ガタンと音がした。
振り返ると。
「トシちゃん!」
久しぶりの、想い人の姿がそこにあった。
「トシちゃん!さぷりめんと、大成功ネ!!」
「サプライズ、な。良かったな。準備一生懸命頑張った甲斐があったな」
「うん!!」
…な、んで。
なんで、土方がここにいるのよ???
黒の着流しに紺のエプロン。
……なんかデジャヴを感じます……。
目が点になってる俺に、土方が声をかけてきた。
「お前の誕生日会に俺も加勢させてもらったんだ。こいつらからお前の好きなもの聞いて、料理作らせてもらった」
そう言って、手に抱えてるお盆を俺に見せる。
湯気を立てたオムライスがのってた。…しかもアレだ、ケチャップライスの上にのってるオムレツを割るととろっと半熟が垂れてくる、アレだきっと。
はっとしてテーブルを見れば、所狭しと料理が並べてある。
オムライス、生姜焼き、かぼちゃの煮つけ、筑前煮、シチュー、ナポリタン、酢豚…。
みんな、俺の好物だ…。
「口に合うといいんだが…」
少し心配そうに語る土方に、俺はまさか!と首を横に振る。
「お前の料理、俺大好きだって!」
お前自身も大好きだし!!
…なんては言えないけど。
土方が俺の返事に恥ずかしそうに笑った。早鐘を打つ俺の心臓。
綺麗で可愛いくて、優しい土方。
そんなお前が俺のために俺の好物ばかり作ってくれたなんて…。感動の極み、です。マジで。
今日の仕事の疲れなんてぶっ飛んじゃうよ、父ちゃん。
新八や神楽だけでも俺はきっと嬉しかったけど。
それに+土方なら、嬉しさ倍増。
「…ありがとう、お前ら…」新八と神楽にこそっと礼を言えば、『わかってるっつーの』みたいなしたり顔された。
俺は苦笑いするしかない。父ちゃんの気持ちをよくおわかりで…。
「さぁ、冷めないうちに食べようぜ」
「はい、じゃあグラス持って〜、改めて銀さん誕生日おめでとうございます!」
「「「「かんぱ〜〜〜〜い!!!」」」」
宴は、夜遅くまで続いた。
続