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◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


で、あっという間に9日だ。
朝、起きてみると自分の私宅の天井で、軽く驚いちまった。あんまり私宅で朝を迎えるっていうのがねぇから。大体屯所に寝泊りするし。
あー、休みか…。



仕事が休みなのはいいが、何をするか…。
幸い天気もいい。出かけてみるか。久々に映画を見に行ってもいい。散歩してもいい。たまには買い物とかもいいかもな。


そう思った俺は軽く朝飯を食った後、外へ出かけた。



**************


あんまり天気がいいので、俺は公園でのんびりすることにした。天気がいいのに屋内に入るのが勿体無くなったから。公園のベンチに腰掛けて煙草をふかす。


ぽかぽかしててすごくいい日だ。布団でも干してくるんだったな。
こんなにぼんやりと過ごすなんざ何時振りだろうか。加えて出張中はほんとに忙しくて、めちゃくちゃな過ごし方してたから。この時間がどうにも俺の中で現実味を帯びない。




と、のんびりしてるところに甲高い子どもの声が響いてきた。


「トシちゃん!」

「土方さん!」

「…チャイナ、メガネ」


万事屋の従業員たち+デカ犬だ。そういやこいつらともずいぶん久々に会う。元気そうだな。


俺は煙草を携帯灰皿に押し付けて消して、俺のほうに走ってきたチャイナとメガネを迎える。ベンチから立ち上がった俺にチャイナが飛びついてきた。…その衝撃で俺はそのまままたベンチに逆戻りだ。



「久しぶり、トシちゃん!今まで煙草吸ってたナ。タバコくさいネ!」

「悪かったな。久しぶりだな、チャイナ、メガネ、デカ犬。元気してたか?」

「はい、土方さんもお元気そうでよかったです」


きゅう、と首にしがみついて頬をぺたっとくっつけてくるチャイナ。体温がまんま子どものそれで、あったかくて心地いい。背中をぽんぽんと撫でてやる。
こんなに嬉しそうにしてくれるなんてな。なんつーか、…俺も嬉しい…。

しばらくして気が済んだのか、チャイナは俺から腕を放して俺の横にちょこんと座った。それにならってのか、メガネもチャイナとは逆側の俺の横に座る。デカ犬は俺らの足元に寝転んでふんふんと土の匂いを嗅ぎ出した。


「出張お疲れ様でした。ずいぶん長い出張だったそうですね」

「…なんで知ってんだ?」

「サド男に聞いたネ。トシちゃん、そのおかげで今日から3日間休みなんでショ?」

「…そんなことまで知ってるのか」


別に機密情報ではないが、どうでもいい情報だとしてもこんな風にだだ漏れでいいのだろうか…。いや、いいわけがねぇ。
俺が総悟に注意しねぇととか考えてると、チャイナからもっとショックな話が語られる。









「だって、今日・明日・明後日をトシちゃんの休みにしてって頼んだの、私ヨ」








「………………………………はぁ?」






俺は、たっぷり30秒は固まった。










どうやら、俺の出張中に総悟がチャイナと偶然会って、俺の出張のこと・出張が終わってから3日間休みをもらえることを話したらしい。

…呆れすぎて怒る気にもなれねぇよ。何が正論だ、あの野郎!絶対裏で辻褄合わせたに違いねぇ!会議を延期させたり捕り物をそこに持ってこなかったり、あいつならうまく口が回るだろうよ!

それにしても、あいつが他人の頼みごとを素直に聞くなんてな。俺はよく知らんが、総悟とチャイナは意外に仲がいいのか?…今思い返しても、いがみ合ってる二人の図しか出てこないんだが。……わかんねぇ……。




だが、それ以上にわかんねぇのは、だ。

「何で俺の休みをこの3日間にしたんだ?なんかあるのか?」



わざわざ総悟に頼んだくらいだ。何かあるんだろう。
俺のこの質問に、チャイナとメガネは俺を挟んで顔を見合わせ。

「「実は…っ!」」


勢い込んで話してきた。




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