B




そんなことを思ったら。
俺は急に土方に想いを伝えたい衝動に駆られてきた。

例えば今夜とか、2人で飲みに行くとか…。土方は確か、明日の午前中まで非番のはずだ。


「…ひ、土方…」

「?」

俺は土方に約束を取り付けるべく、土方の名を呼ぶ。
土方は不思議そうに俺の顔を見つめてきた。あ〜、可愛い!いつも澄ましたような顔してるからときたま無防備な素顔を見せられるともぉやばい。
澄ました顔も綺麗だから好きだけどね!!つーかもう、土方が好きだ、コノヤローー!!!




「…っ、土方っ!俺…「トシちゃん、一緒にまわるアル!」

「お、わ!」

横から、俺の台詞にかぶせて神楽が飛び込んできた。土方の右腕をぎゅうっと掴む神楽。

え、あれ?神楽ちゃん???
俺、ちょっと土方とお話が……。


しかし、俺は言葉に出せたのは、「あ」の一言のみ。



…しょうがない…か。
神楽のおかげで土方と出かけることができるんだ。ここは大人らしく譲って…。……いやいや、無理。
………くっそ―――!!お母さんはお父さんのおかげで子どもができるのにぃぃいいい!!!!



残念無念で、俺の思考回路はショート寸前。
それから、神楽は土方にずっとべったりで。お前、空気読めよ、とマジで泣きたくなった。
…この土方とお出かけvvの状況を作ってくれたのは神楽だとしても、やっぱりがっくりくる。


はぁ…。俺ってほんと、心狭い…。





昼食の弁当。
土方が作ったってことは、一人で頑張ったんだよな?
この量作るのに一体何時に起きてやってくれたんだろう?

頬を赤らめながら「ちっと作りすぎちまった…。作ってるうちに楽しくなっちまってよ」と告げる土方は、ほんと可愛かった。見惚れてたら神楽に肘でつつかれた。



特にかぼちゃの煮つけに感動した。甘くてほっとする味。
土方は本当に料理が上手い。俺も別に不器用じゃないから作れるっちゃ作れるけど、めんどいんだ。甘味についてはとことん追求して作るけど、食事に関してはあんまり執着がねぇかも。
けど、土方の飯は執着しそう。なんつーか、やっぱ、好きな子が料理上手いと嬉しいよな。そこだけが目的じゃねぇけど、絶対違うけど、下手より上手いほうが確実にイイに決まってる。



土方はそのそのままで絶対に美味いその飯に、黄色いものをこれでもかってくらいかけてた。
俺はお前の身体が心配だよ…。ニコ中だわ、マヨラーだわ、おまけに真選組って仕事の所為で不規則な生活をしてるはずだし。
俺のとこに嫁に来ればいろいろ見張っててやれるのに。銀さんとこに来ない?真選組は寿退社ってことでサ。



……こんな軽い感じで言ったら、確実に本気にしてもらえねーだろうけど。
俺は限りなく本気だけど。



飯を食ってるとき、ときたま土方と目が合ってその度に笑いかけつつ、俺は告げたくてたまらない言葉を寸でのところで飲み込んだ。





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