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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


帰り道。
俺はチャイナと手を繋いで歩く。万事屋と眼鏡は後ろだ。
このクソ暑いのに信じられねぇが、万事屋は甘ぇいちご牛乳(奴の自腹)を飲みながら歩いてる。
あぁ、夕焼けが綺麗だな…。



ふと、視線に気付いてチャイナを見れば、こっちをじっと見つめてた。
俺はゆっくりと笑ってみせる。チャイナもその俺の顔を見てにっこり笑った。
…だが、俺は次のチャイナの台詞に顔を強張らせることになる。




「トシちゃんは、私のこと好きアルか?」

「な、なんだよ…いきなり」

ほんと、こいつは心臓に悪い!しかも、俺はさっきこいつらへの自分の感情について自覚したばっかで。〜〜〜〜!はっきり口に出して言うことは憚られる!


「私はトシちゃんのこと大好きヨ!」

そんなことを思ってる間にチャイナがきっぱりと言った。
…だ、だいすき、って…。
なんつーか……。子ども相手とはわかってても、こう面と向かって言われると恥ずかしいな!
………う、嬉しいけど………。



なんて返事したかわからねぇ。。。
参る…マジで顔赤いと思う…。



チャイナは更に聞いてきた。





「じゃあ、トシちゃんは銀ちゃんのこと好きアルか?」

「ぶほぉぉぉおおお!!??」




後ろからすごい水音がしたけど、俺は振り向くことが出来なかった。
かっちーんと凍り付いちまったから…。
…え?チャイナ?何を言ってんだ、お前?



しかし、更に続く、チャイナの口撃(こうげき)。



「銀ちゃんはトシちゃんのこと好きヨ。トシちゃんはどう、もがっ」

「ひ、ひひひひ土方くん!い、今のはナシ!なんかもうナシ!!」

勢い込んで言われた台詞を自覚する前に、万事屋がチャイナの口を後ろから慌てた様子で押さえた。



…えっ…と、……なんだって……???




俺は、…それなりにこいつらに受け入れられてるんだろうか……?
俺が感じている様な思いをこいつらも感じてるのだとしたら……。



…なんか、嬉しいかもしれねぇ。





チャイナと万事屋のじゃれあいがちょっと笑えねぇ状況になってきたから、俺はやんわりと静止の言葉をかける。
チャイナは俺の声にはっとして、俺を見上げてきて。不安そうに顔を歪めて俺にしがみついてきた。そして俺の胸に頭をぐいっと押し付けて、いやいやをするように頭を横に動かす。
俺はチャイナの頭を撫でてやる。そうすると、安心したのか、チャイナは更に強くしがみついてくる。







俺はチャイナの頭を撫でながら、ゆっくりと話し出した。



「……嫌いじゃねぇよ………」


がばっ、とすごい勢いでチャイナは俺を見上げる。
これを言うのはすっげぇ恥ずかしかったが。俺はチャイナの不安を取り除いてやりたくてそっと語りかけた。




「……嫌いだったらな、飯作ってやったり、一緒に動物園に行ったりしねぇよ」




夕焼け色に頬を真っ赤に染めて、やっと笑ってくれたチャイナ。
俺も嬉しくなって少し笑った。





「トシちゃん、おなか空いた!」

「ほんっと、よく食べるよなお前は」

俺はチャイナの髪の毛が乱れない程度に乱暴に頭を撫でてから、スーパーに寄ろうぜと提案して歩き出す。
あ、ここはちゃんとお金だしますから!と慌てたように俺を追いかけてきた眼鏡の頭も少し乱暴に撫でてから、さすがにそうしてくれると助かるぜ、と言った。別に俺が出しても良かったんだが、人を気遣う眼鏡の心意気を酌もうと思ったんだ。眼鏡は顔を真っ赤にしてこくこく頷いてる。夕焼けの色が移っちまってんのかもな。



チャイナが俺の手をその小さな手で握ってきた。
俺は優しく握り返してやる。

眼鏡も同じように、若干俺より小さい手で俺の手を握ってきた。
同じく俺は優しく握り返してやる。





「…なんか、妹とか弟ができたみてぇ」

思わず言っちまった言葉に、チャイナと眼鏡は同意するように嬉しそうに笑ってくれて。
俺たちはそのままスーパーまで仲良く手を繋いで歩いた。





スーパーに入ってから、3人で今晩のおかずについてああでもないこうでもないと話していると。万事屋が来てちょっと拗ねたように「プリン…」とぼやいた。
わかったよ。今日荷物持ちしてくれたもんな。
何を拗ねてんのかよくわからねぇが、作ってやるから機嫌直せって。






そんな、非番の日。


END

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