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銀時、でも俺はわかったよ。
お前は“そういう意味”でトシにそんなことしたんだな?
普通だったら男には決して言わない言葉だし、しない行動だもんな?

別に驚きはしなかった。なんとなくそうなるような予感があった……。




けどな?銀時。
トシは俺のものだ。
絶対に渡さないし、トシは俺の横にいるのが一番幸せなはずだ。


初めから勝負は決まってる。
俺とトシが過ごしてきた数年間とあいつとトシが過ごしてきた数か月。トシがどちらを選ぶかなんてわかりきってる。



……そう、思うんだが。
やはり嫌な予感と焦燥感が残る。

急接近し続ける2人に、俺は内心焦っていた。
近いうちに、予防線をはることにするか……。

その前に今は…………。



「…ズルイ」

「え?」

「俺もトシの手料理食いたいっ!」

久々にトシの手料理が食べたくて仕方なかった。トシがオムレツとかの洋食にまで料理の幅を広げていたなんて初耳だぞっ!?

俺のトシが、俺を差し置いて他の奴に新作を食わせてるのが気に入らなかった。

「…仕事あるから作れねぇよ。わかるだろ?」

そーだ。この仕事に就いてからトシは料理を作る時間なんてなくて。せいぜい非番の時きまぐれにクッキーやカップケーキを焼いてくるくらいだ。


「う〜ん」
俺はない頭を必死で回転させる。

「……なぁ、いーかげんシャワー浴びてぇンだけど…」

「あ!」

俺はものっそいいい事を考えた。


「トシ、今日の職務、俺専用の食事当番ね!」

「………はぁぁああ!?」

トシの叫び声などなんのその、俺はにこにことトシを見つめた。

「何馬鹿言ってんだよっ!?まだやらなきゃいけねぇ書類が山ほどあるんだぞっ!?」

「大丈夫だ!俺が代わりにやるから。山崎にも手伝わせる」

「あんたらには書けないやつがあるんだっ。食事当番なんてやってる暇は…」

「食事当番だって立派な職務だよ?そんなこと言わない!」

「わ、わかるがっ!それになんだよ、あんた専用って」

「だって、トシの作る洋食、食べたことない」

「お、おい…」

「銀時たちは良くて俺は駄目なの?」


俺はじっとトシを見つめた。トシは俺の頼みに弱い……ほら、うっ、って顔してる。


「我儘きいてくれよ、トシ。心配かけたお詫びってことでさ」

瞳が揺れだした。
ほら、もう一押し。

「……ちゃんと書類作成するか?」

「任せとけ!心配なら時々覗きにくればいいさ」

「……しょうがねぇ局長さまだぜ」

トシはため息を吐いて苦笑いしながらも、その目は優しい。

俺は大袈裟に喜んでみせながら、銀時にみせつけてやりたいと思った。



トシのことは俺が一番よく知ってるんだ。
お前にはやらない。
誰にもやらない。


俺は名前を付けることができないこの感情が膨らんでいくのを感じたまま、それでも気付かぬふりをしてトシに笑いかけた。


ただ、トシを離したくなかった。
トシの特別は自分だけでありたかった。
トシの横に立つのは自分だけでありたかったんだ。



この感情の意味を知らぬまま。

ただ銀時とトシの僅かな接近を憎んだ。






END

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