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「恥ずかしがらなくていーじゃん。男同士だし」

「恥ずかしいだろ!男なのにあんな声とか……!」

「トシの声、かわいいよ?」

「!だからっ…!」

「俺は聞きたい」

「ひっ!」


いきなり腰を撫でられて、変な声が出た。やめろっ、そこ弱いんだ!

「誰も聞いてないよトシ?」

「っあんたが、聞いてるだろ?!」

「そうだ。俺しか聞いてないよ?だから遠慮するな」

「やっ…!あ…っ」

首に細かくキスされる。くすぐったい、へ、変な感じするっ!ばっばかっ!噛むなっ!


「あっはぅ…近藤さんっ!」

手に力が入らない。押し返したいのに、近藤さんはびくともしない。

「気持ちいい?トシ…」

「ひゃあっ」

耳元で囁かれ、吐息がかかる。思わずまた変な声を出してしまった。くそっ…、耳はだめだって…っ。


気持ち良すぎておかしくなりそうだ。必死に首を振ってなけなしの抵抗を試みる。
いやだ、お願いだから、これ以上…。


「トシはうそつきだ」

近藤さんの顔なんて横にあるし、俺は目を瞑っているのに、近藤さんが笑った気がした。しかも、多分、黒い笑み。


「今日はトシが『気持ちいい』って言うまで止めない。一週間ぶりのトシだしな」


俺は、目眩がした。




俺は、逃げることもままならず、そのまま近藤さんに畳の上へ組み敷かれてしまった。

「あっ…っいやだ…近藤さんっ」

散々耳を弄ばれた。片方はやわやわと手で揉まれ、もう片方は舌で舐められ時折歯をたてられた。


おかしくなりそうだった。
男なのに、親友にいじられておかしくなりそうなほど気持ちイイと感じてる俺自身に。
心臓が壊れそうなくらいばくばくいってる。


そして。

「いやなの?トシ。おかしーなー」

くすくす笑いながら俺の耳を丹念に触り続ける近藤さん。でも目が全然笑ってない…。正直こんな近藤さん初めてで、怖くて仕方なかった。


「はあっ、ん!」

近藤さんがいきなり耳の後ろに吸い付いた。あまりのことに声が押さえられなかった。身体が甘く痺れて、ひくついた。


「かわいい、トシ。なあ、気持ちよかった?」

もうムリだ、怖い。気持ちいいことは認めるから、頼むから離してくれ。


俺は自由の利かない身体を叱咤して、なんとか首を縦に振る。
近藤さんがにっこり微笑んだ。
俺はほっとする。やっと解放される──。






だけど、次の近藤さんのひとことは信じられないものだった。


「トシ。気持ちいいなら続けてもいいよな?」

「!?なっ─…話がちがうっ!」

「俺はまだトシが足りない。
もっと触りたいし、もっと声が聞きたい」

そう言って、近藤さんは俺に口付けてきた。


「うっぐ!」

文句を言おうと開いてた口のなかにぬるりとしたものが入ってきた。肉厚のそれは俺の口のなかを縦横無尽に暴れ回る。激しすぎて息ができなくなった。


「はっぐ…ふっぅんっ……」

「ふぅ…すまん、トシ。苦しかったな?」

近藤さんは一度離してくれて、俺の息が整うまで軽いキスを繰り返した。

「はっ…はぅ…」

「もう、平気?今度はゆっくり、な?」


優しく下りてきた唇を俺はぼーっと受けとめた。

ゆっくりと入ってきた舌は自分のそれに絡み付く。女とも散々キスなんかしてきたのに、これはそれのどれとも違くて。

いつも思うが、親友同士のキスはこういうものなのか…?

やたらと気持ちよくて、自ら舌を近藤さんのに絡めてみる。
ぴちゃ、と濡れた音がして、はっと恥ずかしくなった。それでも気持ちいいのには勝てない。


どのくらいそうしていたのかわからない。

ふと気付くと唇は離れていて、近藤さんが俺を優しい顔で見下ろしてた。
近藤さんは俺の口のまわりについた含みきれなかった唾液を、親指で拭う。


「トシはキス好きだな?」

そう問われて、思わず答えてしまった。

「好き……」

「…そっか。俺もトシとキスするの好きだぞ」

にかっと近藤さんは笑った。



結局、その日はそのまま二人で眠った。
眠る直前、俺は思った。今度からは定期的に補給させてやろう、と。怖い近藤さんはやっぱり嫌だし。補給させないことであとで倍返しで降り掛かってくるくらいなら、日々少しずつ補給させたほうがマシだ。




「トーシーっっ!」

「どした?近藤さん」

そして今日も、俺は近藤さんへ補給を行う。



END


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