めぐみ 【土方編】@







あっちぃな…
なんかもう、体がどろっどろに溶けそうだ。



今日の午後から明後日の午前中まで久々に非番をもらった。

そんでも屯所に居ようと思ったんだが(書類がそれなりに溜まってたし…)、近藤さんに

『たまにはぱぁっと休んだらどうだ?』

と言われて無理やり屯所から出されてしまったんだ。


その気持ちはすっごく嬉しかったんだが…。俺が居ない間にあいつらが何をやらかすかわかんねぇからよ。
…明後日の午後の申し送りが怖ぇ…。
何か緊急のやべぇことが起こっちまった場合は携帯に連絡が来るようになってるが、それ以外の小せぇことは連絡してこない。

あぁ…。マジ、明後日が怖ぇー。
だがせっかくもらった休みだ。こうなりゃ明後日がくるまで何もかも忘れて好きなことを……。



と考えて、ふと思い出した。


そういや…、次の非番の日には万事屋のところで飯を作ってやるって約束してたっけな…。



俺は携帯を取り出して、この間万事屋に教えてもらった電話番号に連絡してみた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

残念ながら、あいつらは今出かけて留守のようだ。
どうすっかなぁ…。これからいつ非番をとれるかわかんねぇし、できることなら今日・明日に会えるといいんだが。


っつー感じで、なんとなく町ん中を歩いてたら。




後ろからすげぇ勢いで抱きつかれた。




俺は自分でも気配とかに敏感なほうだと思うんだが、こんなに無邪気な感じで近付かれたから反応するのが遅くなっちまった。
子どもってすげぇ(苦笑)。


でも、俺はなんとなく悔しくて、チャイナに言った。

「人違いだったらどうすんだ」

「私トシちゃん間違えたりしないネ」

「…どっからくるんだ、その自信は…」

あ〜あ、敵わねぇよチャイナには。
堪らず笑うとチャイナもにっこりと愛らしく笑う。そして、俺の右腕にしがみついてきた。



チャイナが聞いてくる。

「トシちゃん、非番アルか?」

俺が肯定の言葉と、言外にお前らのところにいこうと思っていたと伝えるとチャイナは驚いたような顔をする。


「え?うち来るアルか!?」

その表情と台詞に少し不安になった。…俺の早合点だっただろうか?

「…また来いって、言ったろ…?」


そう心細く呟く俺の台詞をチャイナが慌てて拾って、「そうヨ!私、またトシちゃんに会いたかったネ!」と言って、今度は正面から俺に抱きついてきた。



「…ん、よかった」

なんでかすっごいほっとして、俺はチャイナの小さな頭を撫でてやる。


子どもって、なんつーか、…可愛いよな。
あれだぞ?ロリコン男の気持ちっつーのとは違うぞ、きっと。
妹、っていうのかな。チャイナみたく懐いてくれる妹がいたら、可愛くて仕方ないだろうなと思った。

総悟も姿形はまったく愛らしかったんだが、あいつは俺にはさっぱり懐かなかったからな!かわいくねぇ餓鬼だったから、守って可愛がって遊んでやろうなんて気持ちにはちっともなれなかったんだが。

チャイナに関しては別だ。やっぱり子どもってのはこのくらい可愛いといいよな。このくらい可愛いとなんか我儘とか言ってもある程度は聞いちまうな。…あんま甘やかすのはよくねぇってわかってても、だ。



そんなことをつらつら考えてると、チャイナが「トシちゃん、トシちゃん!」と呼んでるのに気付く。

「ん?」と俺がチャイナに目線を合わせて話を聞くと。



「ね、トシちゃん。私明日、みんなで遊びに行きたいアル!」

「え???」



こんなことを言われてしまって。
…そんなきらきらした目で強請られたら、駄目なんて言えねぇな。
俺はふっと笑って、「どこに行きてぇんだよ?」とチャイナに問う。するとチャイナは「トシちゃんはどっか行きたいとこあるカ?」と聞いてきたので。
俺たちは2人でよ〜く話し合って行き先を決定したんだ。



いろんな候補はでてきたんだが。
行き先は、俺とチャイナが一番初めに頭に浮かんだところ。
最近CMで赤ん坊ラッシュだと宣伝していた、大江戸動物園だった。



弁当を持っていきたい!とはしゃぐチャイナが可愛くて、俺は二つ返事で承諾する。明日は早起きしねぇとな。チャイナの分を作るだけでもかなり大変そうだ(笑)




こうして、俺たちは明日動物園へ出かけることにしたのだった。





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