(この【神楽編】は、“弐萬打記念フリー2位 『万事屋×土方』”で書かせていただいたお話です。今はフリーではありません。)
…
……暑いアル……
脳みそとか内臓とか溶けて出て行っちゃいそうな感じするネ。
私は今、公園のベンチでぼーっとしてる。
ちょうど木の葉っぱの下で日陰になっているそこは格好の涼みのスペース。
もう飽きるくらい遊びまくって、疲れた私は背もたれに寄りかかってのへーっとしていた。
「…どっかに遊びに行きたいナ…」
銀ちゃんと、しょうがないから新八と、遊びに行きたい。
でも私知ってる。うちお金ないネ。どっかに遊びに行くなんて夢のまた夢。
今日は銀ちゃんと新八が仕事に行ってる。お前ができるような仕事じゃないって言われて除け者にされたネ。ひどいヨ、ずるいヨ…。
あんまり悔しかったから銀ちゃんが密かに楽しみにしていたプリン食べた。ちょっと気が紛れた。
そう思うと今日は自由な日ネ!!遊びまくろうと思ったら…
飽きてしまったアル…。
私はもう帰ろうと思って、一人遊びしていた定春のリードを引いて公園の出口に向かう。
定春と遊ぶのも楽しいけど、銀ちゃんとかしょうがないから新八とも遊びたい。
そんなことを思いながら公園を出る。
そして、前方を見ると。
あ。
あの後姿。
真っ黒の髪に真っ黒の着流し。
トシちゃんネ!!
「トシちゃん!!」
「うおっ!?」
私はトシちゃんを確認すると同時に走って、後ろからトシちゃんに抱きついた。(加減したヨ)
トシちゃんはびっくりしたような声をあげて、慌てて後ろを向いてくる。
…ん!やっぱり、綺麗な人ネ!
「ちゃ…チャイナ娘。いきなり抱きつくな。びっくりするだろうが」
後ろに知り合いがいるような感じはしたんだが、まさか抱きつかれるとは思わなかったぜ…。と、トシちゃんはぶつぶつ言ってる。
「人違いだったらどうすんだ」
「私トシちゃん間違えたりしないネ」
「…どっからくるんだ、その自信は…」
トシちゃんがくしゃって笑った。可愛いアル、トシちゃんvv
私はトシちゃんに久しぶりに会えたのが嬉しくて、トシちゃんの右腕にしがみつく。
「トシちゃん、非番アルか?」
「あぁ。今日の午後から明後日の午前中までな。久々にまとまった休みがとれたんだよ。
だからお前らのとこに電話したんだが…。お登勢さん…だっけか?あの人に万事屋連中はみんないねぇって言われてよ。どうすっかなぁって思ってたところだ」
「え?うち来るアルか!?」
「…また来いって、言ったろ…?」
少しだけ不安そうにトシちゃんが呟く。
私は慌てて言った。「そうヨ!私、またトシちゃんに会いたかったネ!」そう言って、今度はトシちゃんの正面から抱きついた。
「…ん、よかった」
安心したようなトシちゃんの声に私も安心した。優しく私の頭を撫でるトシちゃん。
トシちゃん、私嬉しいのヨ。トシちゃんが約束守ろうとしてくれたことが。
やっぱりトシちゃんはとっても優しい人ネ!
と。
私の頭の中にある名案が浮かんだ。
「ね、トシちゃん。私明日、みんなで遊びに行きたいアル!」
「え???」
かくして、私たちは動物園へ行くことになったのであった……。(嬉)
「と、いうわけネ」
「…」
「…チャイナ娘…。昨日のうちに言っておかなかったのか…?」
翌朝。7時くらいに来たトシちゃんと一緒に朝ごはんを作ってると、起きてきた銀ちゃんがそれを見てすごい奇声を発してあんまり煩かったから思わず回し蹴りをおみまいして後。
トシちゃんがここに来た理由をものすごい勢いで尋ねられたから、回想を踏まえて説明した。
…あ、そういえば、昨日銀ちゃんに話すの忘れてたネ……。
それじゃびっくりするアル。好きな子が朝台所に立ってご飯作ってたら、一瞬「あれ?俺って結婚したっけ?」って思うヨ。妄想癖のある銀ちゃんなら絶対そう思ったはずネ。
「いきなりで悪かった。予定悪ければチャイナとだけ行くが「いやいやいや、何言ってんの!銀さん今日ものすげぇ暇なんだよね!つーか、動物園今ちょうど行きたかったんだよね!」
「…そ、そうか…」
…銀ちゃん、がっつきすぎネ。
この後やってきた新八にも事情を説明して、定春をお登勢さんところに預かってもらって、動物園へと出かけた。