入学式の日に校門で力尽きた私を助けると言う妙な出会い方をした片倉先生は見た目によらずとてもいい先生だ。


「先生どうしましょうかね、最近食費がピンチなんですよ」


ズズ、とお茶を啜りながら相談を持ちかける。
此処は数学準備室。別名片倉先生の城だ。

私はよく此処に来てはお茶を飲みながら先生とお話したりしている。
嫌な顔をせずお茶やお茶菓子を用意してくれる片倉先生まじかっけぇ。


「またかお前は」


入学して3カ月。食費について先生に相談するのは三回目。つまり毎月相談しているわけだ。


「いや、あれですよね。この前物凄く肉が食べたくなって高い肉買っちゃったのが敗因ですよ」

「何に負けたんだお前は」


私が一人暮らししてる理由はよくある両親の海外赴任ってやつで「名前ならお金さえあれば一人で生きてけれるわよね(星)」と言って一人娘を置いて海外へ旅立っていった万年新婚夫婦から毎月生活費は入る物の何故か食費の割り当てが少ないらしく毎月足りなくなる。

計算とか苦手なんですよ。


「しょうがねぇな…」


そんなことを言いながら校舎裏の畑(別名片倉農場)で穫れた野菜を分けてくれる片倉先生は本当に優しいと思う。
素敵すぎるぜ。


「いやもう本当ありがとうございます。今度きんぴらごぼう持ってきますねきんぴらごぼう。毛利先輩が気に入ってくれたんで多分美味しいですよ」

「期待せずに待っている」

「ええー、そこは期待しといて下さいよ」


そういうとお前が約束を忘れなければな、と言われた。
そりゃあれだ、…確かに保証できないっす。


「って言うか、お茶変えたんスね。まじ美味いッス」

「なんだその口調は」

「よくわかんないけど廊下でリーゼントの先輩達が"筆頭ぱねぇっス!"って騒いでたんで真似てみました」


何なんですかねあの集団。

あ、このお菓子美味い。

目の前で"あいつら…"という片倉先生の呟きスルーしよう。
なんか雰囲気怖いし。


「あ、そうだ。今度猿先輩に家に来ないからって誘われたんですよ。団子作ってあげるからって」

「猿って…猿飛か」

「そんな名前だったかもしれないです。ほら、真田君と仲のいい」


あの人は一体私を何歳だと思っているのだろうか。
団子位じゃつられな…つ、つられない、ぞ。


「断っとけ」

「先生がそう言うなら」

「できるだけあいつに関わらねぇようにしろ」


あいつは色々危険だからな、と先生が言うので大人しく頷いておく。
そうか、猿先輩は危険なのか。
私の片倉先生に対する信頼は絶対だ。




猿先輩に再び誘われ「片倉先生が猿先輩は危険だから関わるなというので遠慮します」と断り「右目の旦那ぁ!?」と猿飛片倉先生に抗議に行くのはその2日後。

かすがさんの写真でつられうっかり誘いにのりそうになりたまたま通りかかった片倉先生に叱られるのは更にその次の日の話だ。


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書いてて滅茶苦茶楽しかったです


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