「小十郎さん、これは…」

「あぁ、大丈夫だ」


季節は春。
今日は小十郎さんがいつの間にか仲良くなっていた近所のおじいさん(畑仲間らしい)(畑仲間って…)のご好意でおじいさんの所有する山にみんなで山菜を採りに来ている。

遊びに行きたいと騒いだ幸村達に山ならまぁ騒いでも大丈夫だろう、ついでに夕食の食材も手に入るし、なんて小十郎さんや猿飛と話した結果小十郎さんがおじいさんに話を付けてくれたわけだけども。

みんなは戦国時代から来た人達。
山に詳しければ山菜にも詳しいわけで。山に連れて行くにはもってこいの人材だ。


「名前ー政宗達が熊を狩ろうとしてるんだけど…」

「慶次止めて!」


…まぁ、多少後悔しているが。



「いい?動物を狩っても捌けないから」

「佐助が捌けますぞ」

「小十郎も出来るぜ!」

「いや、自慢気に言われても」


熊やら鹿やらを狩ろうとしていた政宗と幸村を止めお説教。

動物狩るのは本当勘弁してください。


「今日は山菜を採りにきたの。体を動かし足りないのはわかるけど狩りは駄目」

「しかし元親殿達はあちらの川で魚を…」

「元親…!?」


いないと思ったらそんなことしていたのか…!と川へ言ってみれば大量の魚を手に満足げな瀬戸内組。


「元就まで何やってるのさ…」

「こやつが魚一匹も穫れぬのかと喧嘩を売ってきた故に我の実力を見せてやったまでよ」


いやいや、やったまでよ…じゃなくて。


「まぁいいや…ありがとう二人とも。後で焼いて食べようか」


…これ食べれる魚だよな?
猿飛や慶次に確認してから食べよう。


「見て名前ちゃん」

「わぁ…大漁ですね。わ、たらの芽!天ぷらにすると美味しいんですよね」

「今日の夕餉頑張っちゃう」


猿飛のかごにはやらびやたらの芽、蕗にぜんまいまで沢山の山菜で溢れていた。


「キキッ」

「夢吉?むぐ…あ、桑の実?」

「あっちにいっぱいあったよー」


夢吉が私の口に押し込んだのは桑の実。甘酸っぱくて美味しい。

慶次の籠にも沢山の桑の実が入っている。


「帰ったらジャムにしようかな」


昔はよく作ったものだ、なんて言って笑う。



で、


「hey!かかってこいよ真田!」

「政宗殿、いざ勝負!」


結局こうなるわけだ。


山菜採りに飽きた幸村と政宗が川で遊びだしたのを筆頭に元親や慶次がそれに混ざり元親に水を掛けられた元就までもが参戦。

それを見ている私達は苦笑を浮かべている。

着替えを持ってきてよかったと切に思う。


「子供は元気だねぇ」

「本当ですよ…あ、ゆきが転んだ」

「あは、竜の旦那が巻き込まれた」


いつもはもー!と叱る猿飛も今日はちゃんと着替えやタオルを持ってきているせいか笑ってみている。

きっと五人が今以上にヒートアップしてきたら叱り出すだろうが。


「おい猿!真田が鼻血だしたぜ」

「旦那ぁ!?」


ヒートアップしなくても行ったか。
お母さんは大変だ、と笑えば小十郎さんが私の隣に腰を下ろした。


「小十郎さんは行かなくていいんですか?」

「…あぁ。今みてぇに騒いでるだけならな」


ふ、と笑う小十郎さんがキレることになるような出来事が怒らないことを祈ろう。

「さっき政宗様がうさぎを仕留めた」

「政宗!?」

「少し目を離した好きに狐に奪われたが…」

「あぁ、そうですか…それならまぁ」


いい、のか…?
あれ、狐って死んだ獲物食べるっけ?ギリギリ生きてたのか?

まぁ、いいか。


「本当、元気が有り余って…」

「向こうにいた頃もよく執務をサボって城を抜け出してらしたからな」

「あ、やってそう」


それで小十郎さんに説教されるんだ。きっと。
幸村は壁とか壊して猿飛がそれを見て頭を抱えながら叱りつけるんだろうな…

元親は絡繰りを作ったり船に乗って海へ出たり
元就はずっと難しい顔をしてるんだろうか。

慶次は全国各地歩き回ってるのかな。


「…一度でいいから向こうの生活も見てみたいな」

「俺たちが此方に来ているんだ。もしかしたらお前もあちらに行くこともあるかもしれないな」

「えー…きっとすぐ死んじゃいますよ。私なんか」


くすくす笑いながらそんな話をする。

それが叶わないと知っているから憧れて、知っているから寂しく思ったりする。


「名前殿ー!」

「ちょっとこっち来いよ!」

「小十郎もだぜ!」
幸村、元親、政宗が此方に向かい手を振っている。


「何ー?」

「すぐ参ります」春うららかな今日この頃
こんな思考も春のせいにしてしまおうか


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山菜、採り…?
途中から山菜関係なくなってしまいすみません…っ

この時期にこの山菜ないだろ!というツッコミはスルーしてくださると嬉しいです…



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