朝起きたら身長が縮んでいた。
携帯には自称神からの「機械操作間違えた。多分一日で戻る。お詫びにボーナス出させていただきます」というメール。

多分ってなんだこのやろう、と携帯を投げつければ私を起こしに来た猿飛がその音に反応しドアを開けて小さい姿を見られ警戒され

なんとか私だと言うことを信じて貰って(私しか知らないことを幾つか言ってみた)元親の洋服を取ってきてもらいそれに着替え一階に降りれば今度は他の六人の視線が痛く、猿飛に説明を丸投げして日課である花壇の水やりを終える。


…で。


「なんでこうなる」


にこにこしながら私を膝に乗せているのは猿飛。
慶次に至っては頬をつんつんとつっついてくる。


「いやー、やっぱり女の子は可愛いねぇ」

「本当、ぷくぷくしてる」

「ゆきの方がぷくぷくしてるよ」


男に囲まれてもこれっぽっちも嬉しくない。これが女の子だったら…うはうはだったのに。


「名前ちゃん口に出てるよ」

「あらやだ」

「見た目こんな可愛いのに中身がおっさんなんてね…」


うっせーですよ猿め。

猿飛の膝から抜け出し安全圏である元親達の元へ行く。


「元親と身長一緒くらい?」

「だな!」

「変な感じだぜ…mammyというかsisterだな」


普段も政宗の母親になった記憶はないがまぁいい。確かに今日は息子感覚より弟感覚だ。


「いつもより名前殿の顔がよく見えますぞ!」

「ふん…いつもと同じ冴えない顔ぞ」

「ゆきはかわいいなぁ…元就はちょっと黙ってようか」


明日一日中ほっぺたつつきまくるよ?
どんな脅しだ
もしくは明日一日女装ね
…すまなかった


元就が素直に謝った所で更に安全圏な小十郎さんの隣に腰掛けた。


「次はきっと小十郎さん達の番ですよ」

「来て早々不吉なことを言うんじゃねぇ」


私が小さくなって一番驚いたのが何を隠そう小十郎さんだった。

猿飛は固まり慶次はぽかんとし小十郎さんは手に持ってきた籠を落とし中の野菜を散りばめた。

ちび四人は驚いたもののそんなこともあるだろうとあっさり受け入れ(まぁ、自分達も現在進行形でなってるから)、正気に戻った猿飛と慶次は可愛いだなんだと騒ぎ小十郎さんが正気に戻るのに五分掛かりそれが妙に笑えたのは本人の沽券に関わることだから黙っておこう。


「いつもより表情が固いな」


くしゃりと頭を撫でながら言われる。

表情が固いか。確かにこの頃から表情筋が退化し始めた気はする。


「だが感情表現はまっすぐだ」

「…なんというか、体が戻ると中身も多少戻るんですかね?
うまく制御出来ないんです」


主に猿飛とか元就とか猿飛とか猿飛とか猿飛とかに対して。


「というか猿飛と慶次がいつも以上にうざいせいもありますが」


後ろから「ひどーい名前ちゃん」「だって可愛いもんだからさぁ」なんて聞こえるのはきっと疲れからくる幻聴だと思う。


「ゆきーおいで」


チラチラと此方を伺っていた幸村に対し両手を広げればとたとたと駆け寄りぎゅぅっと抱き付く幸村。素直なのは可愛いがどんどん弁丸に近付いてきていて少し心配だ。

現に猿飛が頭を抱えている。


「そうすると本当に兄弟みたいだね」


にこにこしながら言う慶次の肩では夢吉がぴょんぴょん跳ねている。


「慶次もくれば更にじゃない?
年の離れたお兄ちゃんに少し大人びた姉に甘えん坊な末っ子みたいな」

「mammy、俺らはいねぇのか」


少しムスッとしながら言う政宗。
いつから私は彼の母親になったのだろうか。


「お父さんな小十郎さん、お母さんな猿飛さん、長男は慶次で次が私。元親と元就が双子でその下が政宗、そして末っ子はゆきでどう?」

「何故我がこやつと双子なのだ!」

「な!そんな嫌がるなよ毛利!」

「っていうか俺様性別すら合ってないし…」


心底心外だ、とでも言いたげな元就にそんな元就にムスッとする元親、はぁ、と重いため息を吐く猿飛。

そんな三人を見てけらけら笑っていたら後ろから両脇を掴まれひょいっと持ち上げられた。


「わ!?」


驚いて後ろを見れば小十郎さんの顔。

どうやら犯人は小十郎さんのようだ。


「うわー、高い!」


小十郎さんの視界ってこんなに高いのか。子供の体だから余計に。
抱き上げられた羞恥心など忘れ無邪気な感想を述べる。
…いや、あれだよ。やっぱり中身も多少は…ね?


「あ、狡いよ右目の兄さん。名前、こっち来るかい?」

「慶次は髪くすぐったそうだから遠慮するよ」

「け、慶次殿!それがしもだっこされたいでござ…」

「旦那!?」


…やっぱり幸村精神年齢下がってる…?
慶次も慶次で完璧子供相手にしてるみたいに肩車してるし。


あ、


「小十郎さん、ちょっと降ろしてください」

「あぁ」


ストンとおろされ政宗の下へ向かう。


「政宗もだっこしてもらえば?」

「…HA!俺はそんなガキみてぇなこと…」

「じゃぁもう一回私がやってもらおうかな」

「NO!」


羨ましそうに見ていた政宗に声を掛ければ若干目を泳がせながら否定の言葉を口にしたのでからかい半分に言えばすぐさま聞こえる否定の声。

その後に「ぁ…」と気まずそうな顔をするもんだから思わずぎゅっと抱きついてしまった。

こういう時子供同士ならしゃがまなくても抱きしめられるって便利かもしれない。今日だけでいいけど。


「ほら、行ってらっしゃい」

「う…hey小十郎!オレも持ち上げろ!」


抱き上げろ、と言えない辺り不器用だと思う。

まぁ、だけど


「……そろそろ戻りたい」


まだ無理だ、と何処からか自称神の声が聞こえた気がした。


------
あまり幼児化を生かせてない気がする…リクエストありがとうございました!


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -