元親が風邪を引いた。
どうやら昨日買い物に行ったときに菌を貰ってきてしまったらしく高熱を出しうなされる元親の頭の下に氷枕を置く。
正直幸村と同じくらい風邪と無縁だと思っていた人物なため膝に座っていた元親がいつもと違う熱さだと気付いた時はびっくりした。
「なんか食べたいもの、ある?」
「いや…」
ゆるゆると首を横に振る元親は今自室から隔離され私の部屋のすぐ隣にある部屋に寝かされている。
元親はこちの世界の薬に対する耐性がないから市販の薬は下手に飲ませない方がいいだろう。
漢方ならいけるか…?
とりあえず薬を飲ませるにも何か食べさせなければいけない。
「元親、果物なら食べれそう?」
こくん、と頷く元親に立ち上がりキッチンへ向かう。
「あ、名前ちゃん。鬼の旦那どんな感じ?」
「まだ魘されてます。
とりあえず何か食べさせなきゃって思って果物を取りに来たんですけど…桃ありましたよね?」
「あぁ。皮を剥いて持って行ってやるからついていてやれ」
小十郎さんの言葉に甘え冷蔵庫から取り出したペットボトルだけ持ち部屋に戻る。
「名前…」
「どうした?」
魘されながらそろそろと布団から出された手を握りベッドサイドに置かれた椅子に座る。
「ここにいるから大丈夫だよ」
ぽん、ぽん、と元親の胸を叩きながら出来るだけ優しい声を出す。
「手伝うからちょっと起きあがろうか」
頭の上にある柵に枕を立てそこに寄りかかるように元親の体を起こす。
「ペットボトル持てる?
支えてるから少しずつ飲もう」
スポーツドリンクの入ったペットボトルを支えながら少しずつ飲ませていく。
そこにタイミングよく猿飛が桃を持ってきてくれたためそれも食べさせ漢方を飲ませる。
「まだ大分熱あるねー」
「これで一眠りして落ち着くといいんですけど」
私の手を握り横たわる元親の汗を拭きながら言う。
「早く良くなってもらわなきゃ旦那達が落ち着かなくて落ち着かなくて」
「ゆき達が?」
「旦那は鬼の旦那が心配で五回くらいこの部屋に来ようとして止めるの大変だったし毛利の旦那も機嫌悪いし竜の旦那は名前ちゃんが鬼の旦那に付きっきりだから気に入らないみたいで」
「あー…」
想像付くのが怖い。
それを宥めてくれている小十郎さんと慶次は労ってあげなきゃな…。
「名前ちゃんを独り占めなんてなかなかないからしっかり堪能するといいよ」
「うる、せー…」
猿飛の軽口に朦朧としながらも返す元親。
猿飛はへらへらしながら部屋を出て行き元親も気を失うように眠りにつく。
熱は37.8度。まだまだ高熱だ。
「早くよくなってね、元親」
ちゅ、と額に口づけ、
その額の汗を拭き取った。
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あまり絡んでない…?