昨日は実にいい日だった。ピエールの謎は残るもののかすがさんという美人さんとお友達なって放課後市ちゃんと三人でお買い物まで行ったんだからね。私は勝ち組だ。


「おはよう下林ちゃん」


校門を潜ったところで名前を呼ばれ振り返れば不愉快な笑みを振りまく猿先輩が見え、あからさまに残念そうな顔をし見なかったことにすれば「いやいやいや」と腕を引かれ止められた。


「ちっ、…おはざーっす猿先輩」

「舌打ち!?しかも猿先輩っての止めてってば」


いやいや猿先輩は猿先輩でしょう。あれ、猿先輩の名前なんだっけ…確か…さ、さ、さゆり?違うやさゆりはピエールの…ってだから誰だよピエール。まぁいいや、猿先輩は猿先輩ってことで。


「また失礼なこと考えてるでしょ。まぁいいや、今日のパーカー可愛いね」

「昨日かすがさんと市ちゃんが選んでくれたんだいいだろへへ」


いつもYシャツの上にパーカーを着ているのだけど今日はいつもと違いフードにネコ耳が付いている。
二人が「絶対似合う」と絶賛してくれて昨日買ったものだ。


「あれ、敬語…まぁいいや、かすがってあのかすが?金髪の」


な、呼び捨て、だと…?
聞けば小さい頃からの知り合いらしい。なんだと羨ましいなこのやろう


「今度かすがさんの小さい頃の写真下さい」

「どんだけかすがのこと好きなの」


呆れられたけど気にしない。

はふ、と欠伸をすれば猿先輩がおもむろにパーカーのフードを私に被せる。

そして満足気に頷いたのがうざかったので足を思い切り踏んでさっさと校舎にはいりました、まる。



被せられたフードを元に戻し教室へ向かう。
今日は市ちゃんは長政先輩とご飯食べるから無理だけどかすがさんとお昼一緒に食べるんだ。ひゃっほい。


「おはよう名前」

「おはようかすがさん!」


朝一にかすがさんに会えるなんて今日は本当に素晴らしい日だ。
勿論猿先輩はノーカウント。


「早速着てきたのか」

「へへ。二人が選んでくれたから」


口ではへへ、だが脳内ではぐへへと笑っている自分残念。


「よく似合っている」


ポフ、とフードを被せられわわ、と戸惑いながらかすがさんを見ればとても綺麗に笑っていた。なんかもう死んでもいい。


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