空色のランチバックを持って階段を駆け下りる。
途中市の彼氏のな、な、長政先輩?に廊下を走るなと怒られたので謝った後に「市ちゃんお借りします」と断って中庭に向かう。


「市ちゃん!」


中庭のベンチに座るまさに大和撫子!な少女、市ちゃんだ。
市ちゃんは外部進学組の私の一番最初に出来た友達で入学式の日に感動的な出会いをした子だ。

私を見つけた瞬間にぱぁっと表情を明るくさせる市ちゃん。どうしよう市ちゃん可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛いだよ素敵だよ大好きだ!
そんなことを胸の内で叫びながら市ちゃんに「おまたせ!」なんて言いながら市ちゃんの隣に座る。


「市ちゃんのお弁当いつも美味しそうだね!」


キャラが違うなんて言うことなかれ。女の子の前ではこれが標準だ。


「ありがとう…知のお弁当も、素敵よ」


あぁもう可愛いすぎるよ市ちゃん!
今度は口に出ていたらしく顔を赤らめる市ちゃんにきゅんとした。


「あ、さっき長政先輩にあったよ。市ちゃんお借りしますって言って言い逃げしてきた」


市ちゃんは長政先輩の話になると少しだけ頬を赤らめていつも以上に可愛くなる。
恋する乙女は美しい。


「市、」


市ちゃんをみてにやにやしていたら不意に凛とした声が聞こえて顔を上げた。


「(うわぁ…美人さん)」


確か彼女は同じクラスのかすがさんだ。美人過ぎてなかなか近付けないけど隙あれば接触を図ろうと企んでいたりする。

かすがさんは市ちゃんに用事があったようで市ちゃんと会話している。

ど、どうしよう…美人さんが揃っちゃったよどうするピエール。だからピエールって誰だよ!


「ん?お前は…」


不測の事態(だって大好物の美人さんが二人も!)に混乱している私を見るかすがさんにどうするべきか悩んだ結果


「どうもー」


いつもの調子でへこりと頭を下げた。
我ながらナイスポーカーフェイスだ。


「確か同じクラスの」

「下林知です」

「市の友達なの」


ちょっとはにかんでに私を紹介する市ちゃんにノックダウン寸前だ。
市ちゃん可愛すぎるよ。


「かすがだ。…良かったじゃないか。友達出来たんだな」

「…うん」


市ちゃんに微笑みかけるかすがさんと小さく笑って頷く市ちゃんに心臓がバクバク言っている。ほ、惚れてまうやろ…

全校の男子共め、いいだろ、今この美人二人は私が独り占めだぞ。


「か、かすがさんと市ちゃんもお友達なんですか?」

「かすがでいい。…あぁ。初等部からな」

「わぁ…金髪美人と大和撫子が友達なんて見てる側はうはうはですね」


二人が仲良く話してる姿とか絶景だよ絶景!


「な…!」


顔を赤くするかすがさん。
や、やばいよこの子照れてるよ、かわ、かわええ…


「かすがさんお友達になってください」


つい調子に乗ってそんなことを言うとかすがさんは「…け、敬語はいらない。名前もかすがでいい」と顔を背けながら言ってくれた。これは了承してくれたってことか。


「やったぁ!」


市ちゃんにバッと抱き付けば市ちゃんは「よかったわね、知」と微笑んでくれた。


友達二号getだぜ


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