かすがさんは部活の遠征
市ちゃんは体調不良

かわいい女の子が二人とも休んでしまったというこの絶望感は言うまでもないだろう。


「うわ、下林ちゃんのまわり空気重っ」

「女の子、女の子、が足りねぇ…」

「うん。たまに思うけど下林ちゃん本当に女の子?」


失礼なこんなんでも一応仮にも申し訳程度には女だって…あ、なんか悲しくなった。


「猿先輩の白髪頭」

「白くないよ!?」

「なに!佐助の髪が白く!?」

「なってないから!」


もう、旦那すぐ騙されるんだからやめてよね!とぷんすか怒る猿先輩をスルーしながらお弁当を食べる。

場所は中庭
突然現れた真田君に連行され気が付けばここにいた。


「っていうか何故私は拉致られたんですかね」

「佐助が」

「猿先輩かちくしょう」


とりあえず猿先輩のお弁当から卵焼きを奪っておく。おお、うまい。


「それにしても下林ちゃんのお弁当なんていうか…」

「豪華でしょう」

「豪快だね」

「なんだと」


確かにかすがさんには変わってるな、と言われたけど豪快と言われたのは初めてだ。


「焼おにぎりと煮物と唐揚げと申し訳程度のプチトマトだけで構成されてるし」

「夕飯の残り詰めるだけですからね」

「うん。五分で作れそう」


大きなお弁当を半分に仕切り片側に焼おにぎり3つ、もう片方を更に半分に仕切って唐揚げと煮物をこれでもかと詰めた私のこのお弁当に何の問題があるというんだ。


「下林殿が作ったのでござるか?」

「そうでござるよ」

「口調口調」


真田君の口調ってうつるよね。


「一人暮らしだっけ?」

「そっすね」

「毛利殿の隣の部屋とか」

「そっすね」

「うん、話聞こうか?」

「聞いてるよ」

「ねぇ敬語は?」


ちょっと帰らぬ旅に…
至急連れ戻しておいで
えー


最後の焼おにぎりを食べきり「ごちそうさまでした」と手を合わせた。
あーあ、かすがさんと市ちゃんに会いたい。


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