なんだっけか、こういう状況。馬に蹴られる?違うか…教えてピエール。…あ、


「夫婦喧嘩は犬も食わない」

「誰が夫婦だ!」

「やっべ間違えた」






蛆虫の悪戯と毛利先輩が言ったピンポン連打事件(仮)の犯人は蛆虫ではなく焼きそばパンの先輩だったらしい。

焼きそばパンの先輩は何やら毛利先輩を怒らせ半径100km以内に入るなと無茶なことを言われたらしい。だからさっきスーパーで会ったと言ったら不機嫌になったのか。

そんなこんなで毛利先輩と同じクラスな先輩は自分が教室に入る度に毛利先輩が不機嫌になるためまわりのクラスメートにどうにかしろと怒られて手土産に苺大福を持って家に襲撃に来たところ苺大福だけ奪われドアを閉められた、と

ここまで全て焼きそばパンの先輩の毛利先輩への抗議でわかった内容だ。
先輩のでこが赤いのは毛利先輩がドアを閉めたときに当たったからだろうか。どんまい。
「もーり先輩苺大福一個下さい」

「これは我のものぞ」

「えー…じゃぁ昨日なんとなく作った草餅と交換でどうですか」

「…」


無言は肯定、ということにしよう。


「草餅持ってくるから苺大福残しといて下さいねー」


焼きそばパンの先輩をしばきながら苺大福を食べてる毛利先輩に言いながら目的の物を取りに家に戻る。

なんとなく作って処理に困っていた草餅が苺大福になるなんて最高じゃないか。


「もーり先輩開けてください」


両手が塞がっているため外から声を掛ければ直ぐに中からドアを開けてくれた。…焼きそばの先輩が。


「ありがとうございます」


先程あざーすっと言って毛利先輩に怒られたためきちんと頭を下げて礼を言い、毛利先輩のいる部屋へと向かう。


「お待たせし…え、え、もうないじゃないですかひでーよ先輩ええええ!」


そこで待っていたのは満足気な顔の毛利先輩と空になった箱。そ、そんなまさか!


「やるとは一言も言っていない」

「え、ええ!そりゃないよ毛利先輩!うわあああん!」

「あーあー、ほら、これやるから泣くな」


あまりのことに半泣き状態になった私にそっと饅頭をくれた焼きそば先輩マジ天使。神様。ピエール。

「焼きそば先輩草餅あげます」

「焼きそば先輩って俺か?ああ?」

「名前知らないですサーセン」


す、凄まれた…やっぱり天使じゃねぇや。嫌でも前も色々くれたからやっぱり天使。


「自己紹介してなかったか」

「ふん…貴様にそんなもの必要あるまい。下林、こいつの名前は姫若子ぞ」

「おい!」

「ええ、姫若子ってどこまでが名字ですか姫?姫先輩?」


可愛い名前だな。名前もわこって。
そう言うと姫先輩は「姫若子じゃねぇ!」と凄い形相で叫ぶ。
ち、違うのか


「長曾我部元親だ」

「ちょ…?」

「長曾我部」

「…ちょうしょか…言いにくいですチカ先輩」

「……もうそれでいい」


諦めたような表情が気になったけど取りあえず呼び方はチカ先輩に決定した。

…姫若子ってなんだったんだろ


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