政宗殿は毒消しの薬が効いたらしく随分容態が安定して話せるほどにまで回復されたと言う。
それを聞いて依殿はホッと胸を撫で下ろした。








「襲ってきた三人。全員雇い主は不明で捕らえようとした瞬間自害。標的も不明だけど…多分依ちゃんとシノちゃん、かな」

「な…!何故あの二人がそんな!」

「落ち着け幸村!確かに状況を見る限り狙われとったのはあの二人と考えるのは妥当よのう…」


お館様のぐぅ…と詰まる。

あの時、クナイは確かにあの二人を狙っていた。
依殿は咄嗟に避けながらも左腕に傷を負い、シノ殿を庇った政宗殿は命の危険にまで晒された。

自分は何も出来なかった。
何も、
そして二人に傷を負わせてしまった


「後悔するのは後だよ旦那。
大将、取りあえず依ちゃんに話を聞くべきだと」

「そうじゃな。標的が二人であったことは隠し…弥助に拾われる前までの話を聞くのが先決か…幸村、依の怪我の様子はどうであった」

「はい、…傷自体はそこまで深くなく、出血はあったものの跡は残らない程度だと。ただ…」


旦那?という佐助の言葉にゆっくりと言葉を紡いだ。









幸村様に手当てをしていただいた後、私は着物を着替えてからシノを迎えに行きそのまま部屋に戻った。

暫くして女中さんに呼ばれ昨日お館様と謁見したあの部屋に行く。シノは腕私のの中でしっかり眠っている。


「失礼いたします」


襖の前で声を掛け、部屋に入る。

部屋には、お館様と幸村様、それから猿飛様と片倉様がいらした。


「怪我の調子はどうだ?」

「出血は多かったもののかすり傷ですので痛みもあまり…」

「強がらなくてよい…すまなかったな。本来ならば負わなくてよい傷を負わせてしまった。この館内で起きたこと…わしの責任だ」


そう言って頭を下げるお館様に慌てて「頭を上げてください!」と叫ぶ。お館様の頭は私なんかに下げていいものじゃない。


「…それで、依ちゃんにいくつか聞きたいことがあるんだけど」


猿飛様が真剣な顔で此方を見る。


「―――私に答えられることなら何でもお聞き下さい」


ついに、この時が来てしまった。
私はそう心の中で呟き、そっとシノの頭を撫でた。



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