「え、黒子君あの先輩達知ってるの?」

「はい、多分うちのキャプテンです」

「んあ?なんだよ、なんかあったのか?」


一限目を保健室で過ごした後、そういえばあの先輩たちは運動部がよく使っているエナメルの鞄を持っていた気がして、何か手掛かりはないかとバスケ部である黒子君に眼鏡を掛けた短髪の"日向"さんって人を知らないかと聞いてみたところ知ってますよ、と頷かれこっちがきょとんとしてしまった。
だって、まさか知ってるなんて思わなかったから。

そんな私たちの会話が聞こえたのか隣の席でパンを食べていた火神君が私を見た。


「さっき保健室に行く途中に階段から落ちそうになったのを助けてもらったんだ。…そっか、バスケ部の部長さん…あ、じゃあ一緒にいた綺麗な顔の先輩もかな?」

「その人かはわかりませんが部長と居たなら多分伊月先輩ですかね。おんなじバスケ部の先輩です」

「つーかお前階段から落ちそうにって…!」

「落ちそうに、っていうか落ちちゃったんだけど…あ、その日向先輩のおかげで無傷だったから大丈夫!」


ちょっとだけ苦笑しながら怪我一つないんだよーとアピールしてみる。

というか火神君が心配してくれるとは思ってなくて少しびっくりした。


「あのさ、黒子君…」







時刻は夜7時をまわった頃。
一度家に帰った再び学校に来ていた。
忘れ物?…違う。お礼のために。

黒子君に教えてもらった通りこの時間に来たんだけど、本当に大丈夫だったかな。
少しだけ落ち着かない気持ちになりながらそっと体育館の中を覗いた。

部活は終わったらしく何人かの人がモップをかけている。


「牧野さん」

「わっ」


入っていいものか、と入口付近でそわそわしていた私の背後から突然聞こえた声に体をびくっと跳ね上がらせる。


「く、黒子君…」


通常の人より影の薄い彼を普段見失うことこそ殆どないけどもこうして背後から突然話しかけられると物凄く心臓に悪い。なんというか気配がないのだ。


「あ、黒子君これ先生が配り忘れてた宿題のプリント…」


いまだにバクバクと凄い早さで動いている心臓を抑えながら鞄から取り出したプリントを黒子君に渡す。
これは放課後現代文の先
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