学校帰りに大好きなアイスクリームを食べながら歩いていると中学の時の同級生に遭遇した。


「古市君?」

「都ちゃん!」


中学からずっと…実は今現在も同じクラスに所属している古市君。古市君がいるということは…


「あ?東海林じゃねぇか」

「久しぶり、男鹿君」


やっぱり男鹿君もいた。

男鹿君は所謂不良というやつなのだけど私にはなんかしたりしないから怖くない。というか慣れた。普通に話す分にはいい人だから。
とはいえ


「…赤ちゃん?」


何故彼は赤ん坊を乗せているのだろう。弟?…まさか息子とか?いやいや、流石にそれは…じゃあ一体…


「あー、こいつはベル坊って言ってだな」

「簡単に言うと男鹿の子供かな!」

「ちげえよ」


ガッ!と殴り飛ばされる古市君に合掌。いつものことながらツッコミが激しい。

「えっと…ベル君?」

「だ!」

「か、かわいい…」


お母さんが保育士なこともあってか子供は大好きだ。裸なのは気になるけど凄く可愛い。


「いてて…冗談だろ、ったく。ベル坊は訳あって男鹿が育ててるんだよ」

「そうなんだ…これくらいの子ってちょっと大変だよね」


夜泣きとか、色々。
そう言うと男鹿君は「そうなんだよ!」とかなりの食いつき。かなり困っているらしい。


「子供は親を見て育つから親代わりだって言ってもちゃんと愛情注いであげてね」


男鹿君に抱かれているベル君を撫でさせてもらいながら言う。

この子がいっぱい愛されて幸せな子になればいいな。


そんな話をしていたら男鹿君が不意にコロッケを買くと消えたのでそれを古市君の隣で待っていることにした。


「赤ちゃんって表情とか言動もね、親に似るんだよ?赤ちゃん育てるって責任重大だよね。
でも男鹿君ならなんとなく大丈夫な気がする」

「なんで?」

「口悪いし喧嘩ばっかりしてるけど根っこは優しい人だから」

「…まぁ、わからなくはないけど」
「本当に腐ってる人って目が違うんだよ」


そういう人はいっぱい見てきた。
組員にも少なからず居たし(その人には絶対近寄らなかった)いやだなーって感じた人が子供を虐待して捕まったって聞いたり。

男鹿君は乱暴だけど優しいから絶対虐待はしない
そう、根拠のない自信があった。


「そういえば都ちゃんっていつもどこにいるの?教室にはいないよな?」

「んっとね、保健室の奥にある小部屋か図書館に大体いるよ」

「特別扱いかー。ま、そっちの方が安全だよね。うちの学校物騒だから」


本当にその点では先生達に頭が上がらない。

因みにテストなんかも私は別室で受けることになっている。テストないけど。あってもなんか小学生みたいな科目だって噂だけど…。


「古市君は絡まれたりしない…?」

「まあ…それなりにあるけど大体男鹿も一緒だからな…」

「ああ…男鹿君強いもんね」


神崎先輩とどっちが強いかな?…男鹿君かな…
男鹿君、馬鹿みたいに強いらしいし。


「東海林」


名前を呼ばれ顔を上げればこちらに何かを放り投げる男鹿君。
咄嗟にそれを受け取ればそれは白い袋に入ったほかほかのコロッケだった。


「やる」

「え?あ、ありがとう…」


お金、と鞄に手をかければ「いらねー」の一言。や、優しい。


「おい男鹿、俺のは?」

「あ?ない」

「ないのかよ!」


ぎゃいぎゃい騒いでいる男鹿君達を見ながらコロッケを一口口にすれば凄く美味しくて思わず笑顔になる。


「美味しい」

「だろ?」

「ダ!」

「ありがとう、男鹿君」


学校は憂鬱だけど男鹿君や古市君がいるならなんだか明日もやっていけそうな気がした、そんな夕暮れ。



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