おい、出て来い
東海林ちゃーん、いい加減出てきなよ

ガンっと扉を蹴られた振動と聞こえる声に膝に顔を埋める。


「はじめ先輩の馬鹿何やらかしやがるんですか馬鹿!」

「うるせー口が滑ったんだよ!」

「どうせ売り言葉に買い言葉的に言ったんでしょ、しかもドヤ顔で」

「東海林正解」


少しでも要君の鼻をあかしてやろうと言ったんだろう。
しかも多分許嫁ですが何か?
じゃなく許嫁ですが何かー?みたいな言い方だったんだろう多分!

今朝私を迎えに来たのも由加ちゃん達に質問攻めにあいスルーするにも限界がきてそれを私に押し付けるために呼びに来たって話だし…!


「まあまあ、喧嘩はそこら辺にしていい加減出てきたら?」


掃除用具箱から



夏目先輩の言葉と同時に砦の扉が無情にも開け放たれた。







夏目先輩からはじめ先輩の言った言葉を聞き、更に私を迎えに来た経緯を聞いたときにはもう学校は目の前というところで。
私は思わずはじめ先輩にぬいぐるみを投げつけて走り出していた。

振り分けられた教室にはまだ人が居らずとっさに逃げ込んだのは掃除用具箱の中。
開けてみたら空っぽだったから、つい。

そのまま膝を抱え聞かされた話を整理してたら他の人たちがどんどん登校してきてそのことにより顔をあわせ辛いということも思い出してしまい結局30分程引きこもっていたと思う。


「都ちゃん!?なんでそんなとこに…」

「お、おはよう古市君…」


あと男鹿君も…と挨拶しながらも夏目先輩により開かれた扉を再び閉めようと頑張るが女である私が力でかなう筈もなくそれでも奮闘していたところで伸ばしていた腕を掴まれぐいっと引かれて掃除用具箱から出されてしまった。


「はい、捕獲」

「うう…」

「よくそんな狭い所入れたね」


余裕でしたけど
体勢変えられるくらい余裕ありましたけど!

…考えてて悲しくなった。


「…別に、はじめ先輩と許嫁なのが嫌なわけじゃないですけど」


なんとなく、勘違いされてそうだったのでそこはしっかり否定しておく。


「じゃあ何が気にいらねーんだよ」

「だ、だって、許嫁とか…そういう、」

「あ、恥ずかしかったんだ?」

「恥ずかしかった、っていうか、」


それも勿論あるんだけど、


「じ、自分の意図しないところでバレてて、恥ずかしいし、は、はじめ先輩がそう言ったことにもびっくりしたし、わけわかんなくなったんですよもう!」


明らかに理不尽なキレ方だ、とは自覚している。


はじめ先輩と夏目先輩の前から逃げ出し男鹿君の後ろに隠れる。


そこで先生が来たためなあなあになり席についたんだけど。

その後は由加ちゃんに質問攻めにあったり姫川先輩にからかわれてハゲちゃえって言って怒られたり由加ちゃんが見せてくれた姫川先輩の髪下ろしたバージョンの写真と本人見比べて合成?って聞いてまた怒られたり…なんか、凄く賑やかで楽しかった。

もし男鹿君や先輩達が退学になったらこういうのもなくなっちゃうんだな…そう思ったら悲しくて、そう感じた自分にびっくりした、そんな日の話。



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