たまたま街で会った高校時代の恩師と近況を話してる時に何気なく職探しをしているともらした私に「ならうちで働けば?」と言う恩師の一言。

え、と戸惑ってる間に「また連絡するわ」と恩師がその場を立ち去ったのが元親達と再会した翌日の話。
そして「司書と事務どっちがいい」と電話が掛かってきたのはその二日後の話だった。


「え、え?じゃぁ司書で…」

「司書な。じゃあ来週からよろしく」

「えええ…」

「なんだよ。ちょうど司書が辞めちまって困ってたんだよなー。お前司書の資格持ってるだろ?」

「まあ、持ってますけど…」


だからと言ってそんなに簡単に決めてしまっていいものなのだろうか。というか未だに状況についていけてない。


「卒業生だと余所からくるより学校に詳しいからこっちとしても楽なんだよ。お前は生活態度はともかく成績はよかったしな。それから三年間図書委員だったし」

「そんな簡単に…。
あ、でも私在校生に二人顔見知りがいるんですけど大丈夫ですか?」


完全に恩師のペースに呑み込まれながら頭に浮かんだのは息子達のこと。
言わずもがな政宗達だ。
学校に勤める以上贔屓は駄目なんだろうけど多分あの子達には贔屓するなと言われても無理だから。


「顔見知り?」

「確か二年だったかな?の伊達政宗と真田幸村です」

「あの二人の知り合いか!なんだ、懐かれてんのか」

「そう、ですねぇ」


息子みたいなものだから。
なんて流石に言えないから適当に濁しておく。
懐かれてるのだけは断言出来る。


「なら尚更大歓迎だ。あいつらはなんつーか、なかなかの問題児だからな」

「え…政宗はともかく幸村も?」

「あいつは素直でかわいいが伊達と関わるとやれ勝負だなんだとな」

「ああ…」


成る程、と納得してしまう。
確かに幸村は単体ならともかく政宗がいるのならわからなくもない。

まあそれが幸村のいいところでもあるんだけど。

ふと、頭の中に母校の図書館を思い浮かべる。
私立だけあって膨大な蔵書を抱えるそこは校舎から繋がる渡り廊下の先にある当に図書館。よくある校舎内に存在する図書室という部屋ではなく一つの建物なのだ。

自習室は他にあるし授業で使う資料室は別にあったため人は常に殆どいなくてそれ故ある程度なら雑談も出来たため在学時代は放課後になれば先輩達や後輩と集まりよく雑談したものだ。
本当はよくないんだけど。
三年間図書委員に所属し最後は委員長までやっていたから図書館には詳しいし司書の仕事もある程度わかる。
司書さんに仕事手伝わされてたし。


「司書になればあれだぞ、司書室使い放題だ」

「うーん、それは魅力的…」

「つーかお前伊達と真田の手綱を握れる奴を俺が逃がすと思うなよ?」

「…そこですか」


どんだけなのあの子達。
まぁ保護者組がいないとそうなのかな。
止める人いないから。


そんなこんなで再就職先はあっさり決まってしまったのだった。






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