あれはなんだこれはなんだこの車とやらはどうやって動いているんだなどなど騒がしい車内で大半の問いかけをスルーしながらたどり着いた大型スーパーの駐車場で車を降りる前に最低限の注意事項を告げる。
「騒がないはぐれない暴れない」
主に長曾我部と真田幸村に対してだ。
二人は一応頷いたものの心配である。
自動ドアやエスカレーター、エレベーター等の簡単な説明をして店に入ると早速自動ドアにビクッとする四人につい笑みが零れた。
「まずは毛利さん達の服から行きましょうか」
四人を引き連れ子供服売り場へ行き、本人達の意見を聞きながら店員さんと相談して着回しの利く服を中心に選んでいく。
「こんなパジャマもあるのですが…」
「わ、可愛い」
店員さんが見せてくれたのは動物の耳の形のフード付きの着ぐるみパジャマ。
しかも夏用冬用のセットだ。
ダメ元で三人を呼んで見せれば意外にも承諾され真田幸村が虎、長曾我部が犬、毛利元就な猫、留守番中の伊達政宗には龍のパジャマをそれぞれ購入。
それから靴も面倒だからとその店で購入し大量の袋を持ちながら次の店へ。
きらきらとした目で辺りを見回す長曾我部や真田幸村に苦笑しながら二人ほどあからさまではないが初めて見る物に戸惑いながらあれはなんだこれはなんだと小声で聞いてくる猿飛佐助と毛利元就の問いかけに答えつつメンズ服のエリアに向かう。
ここでは当人が猿飛佐助以外いないので猿飛佐助には自分の服を選んでもらい私は長曾我部や毛利元就と共に他の二人の洋服を選んでいく。
ここでもまた大量の買い物をした私たちは一旦荷物を車に置き次の物を買いに行く。
「下着を選んで下さい」
簡潔に告げるが下着という言葉が通じず褌の代わりですと言えば三人の赤面と一人の呆れの視線をいただいた。
選んでと言った物の幼児化組の物は私も一緒に選ぶ…というか端から適当に入れていったわけだが。
「後は寝間着ですね。
あ、浴衣と甚平がありますねー家にあるのは洋風のなんでこれも買っちゃいますか」
今の季節が初夏だからか。
洋服も夏物であまりかさばらなかったし私も買おうかな…
「いいの?」
「自称神の金ですからねぇ。
それに、普段着てる物の方がいいでしょうし」
あいつの金だからばんばん使ってやれ、と暗に言ってみる。
無駄にあるんだし。
自分用の藍鼠色の浴衣をカゴに入れて留守番組みの浴衣も選ぶ。なんとなく、前田慶次は甚平が似合う気がする。
「ここで靴下…足袋?を選んでいて下さい」
「どこに行くのだ」
「自分の下着を…」
「さっさと行ってこい!」
自分で聞いておいてなんだ、とは真っ赤な顔を見ては言えなかった。
みんなが靴下を選んでいる売り場のすぐ近くにあるランジェリーショップに入り適当に下着を選ぶ。
「あ、これ可愛い」
サイズは…よしよしぎりぎりあるな。家に三セットあるから…なんて計算しながら何個か手にとっていく。
「へー、この世界の女の子達の下着ってそんなんなんだ?」
「何でいるかは聞かないので他の方々はどうしているか聞いてもよろしいですか?」
ここ数時間ですっかり聞き慣れた声に下着を選びながら答えれば「分身が見てる」とのこと。
むしろこっちが分身じゃないのか、なんて妙に冷静に考えている自分に拍手。
「布の面積少なくない?」
「胸と下が見えなきゃいいんですよ。なんならもっと凄いのありますよ?」
Tバックとか透け透けのとか。
ガーターベルトって過去から来た人からしてもセクシーなのかな?
価値観の違いだからわからないが。
「…というか、恥じらいとかないの?」
「むしろこちらが聞きたいですね。
男性の方が恥ずかしがったりするので」
あ、これとこれどちらがいいですか?
よくわからないけどこっち。
あぁ、やっぱりかわいい系よりセクシー系なんですね。
セクシー?
帰ったら伊達さんにでも聞いて下さい
さて、これだけあれば十分か。
「ちょっと会計行ってきますね」
レジでポイントカードを出せばちょうどいっぱいになって次回から千円分の買い物券になるという。ラッキーだ。
商品の入った袋を提げいつの間にかいなくなった猿飛佐助の本体がいるであろう幼児化武将達の待つ靴下売り場へ向かう。
「遅い」
「申し訳ありません。女の買い物というものはついつい長くなってしまう物でして…あぁ、きちんと選んで下さったのですね。
それでは会計を済まし食品を買って帰りましょうか」
言うだけ言ってカゴをもちレジへ向かう。途中佐助が数字の読み方と売価の説明を求めて来たのでそれに答えれば今日だけで使った金額を覚えているのか渋い顔をされたがそこは魔法の呪文。「あいつの金だから」だ。
「食品売り場は一階なのでエスカレーターで行きますか」
さっき駐車場からここまで来るのに乗ったからかさして同様もなくエスカレーターに乗り込む四人。あぁ毛利さん仕組みを聞かれてもわかりません私には。役立たずなんてそんな本当のことを。
真田幸村と長曾我部のフォローに感動したのは内緒だ。
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