茶色の半袖シャツにチノパンというシンプルな服装の片倉小十郎に黄色いタンクトップにグレーパーカーを羽織り黒のハーフパンツな前田慶次。
深緑のタンクトップに迷彩パンツで首にストールを巻いた猿飛佐助、赤のパーカーにハーフパンツの真田幸村と青いTシャツにジーンズの伊達政宗、紫のシャツにグレーのスラックスの長曾我部元親。
そして長曾我部の寝間着である薄紫のパジャマを着た毛利元就。


全員シンプルな服装なのに妙に似合ってるのは顔と体格がやたらといいからか。世の中不条理だと思う。

見た目サイズが合ってないのは毛利元就だけだけど、他はどうだろうか。


「腰回りが緩かったり肩幅が狭かったりはありますか?」


その問いかけに毛利元就以外の否定の言葉を受け立ち上がる。


「これから買い出しに行きます」

「外に出れんのか!?」

「まぁ、そうなりますねぇ。
でも全員で行くと何かと大変なので…半分に別れますか。
取り敢えず毛利さんは買い出し組。後は適当に別れて下さい。
あぁ、でも伊達さんと長曾我部さんはどちらか留守番お願いします。毛利さんに服を貸して欲しいので」


じゃぁ、私も準備してきますから。
そう告げて部屋を出る。

私の部屋は二階の一番端の部屋。
強制的にバイトが始まってから揃えた物ばかりだからまだまだがらんとしていて、クローゼットの中の洋服も少ない。
買い出しの時に時間があれば自分の物も買おう。

人の気配を感じたがどうせ猿飛佐助辺りだろう、と気にせず服を脱ぎ捨てボーダーのシャツワンピにベストを羽織り一応配慮として下にジーンズを履く。
いつもならタイツだけどなんかうるさそうだし。

軽く化粧をしてから携帯と財布を鞄に入れ客間に向かう。


「買い出し組は誰になりましたか?」

「俺と毛利と真田と猿だぜ」

「では片倉さんと伊達さん、前田さんがお留守番ですね。
留守中家の中は勝手に見て下さって大丈夫ですが物は壊さないようにだけお願いします」


そう前置きしてから電話の使い方とテレビの説明、それと人が来ても出ないように告げ、壊されても困るのでインターフォンをオフにして家を出た。
勿論戸締まりは完璧だ。


「お店にはこれに乗っていきます」


そい言って見せたのは叔父から譲り受けた八人乗りのワゴン車。

まだ初心者マークは付いている者のなかなか運転が上手いと褒められ買い換えるからと譲ってくれたのだ。

普段は自分でローンを組んで事故ってもいいように中古で買った安い軽自動車を使っていたので車庫に眠っていたのだけどまさかこんな所で役に立つとは…とバイトが決まった数日前叔父に心から感謝した。

このメンバーなら軽自動車の方でもいい気がするが荷物が多くなるのは目に見えてるし、こっちの方が振動が少ないから初めて車に乗る人達でも酔いにくいだろう。


「何この鉄の塊」

「自動車って言って、そうですね…馬より速く走る籠みたいな感じですかね。
この世界の極一般的な交通手段の一つですよ」


目を輝かせる長曾我部に怪訝そうな顔の猿飛佐助、じどうしゃ…とぽかんとしている真田幸村と我関せずな毛利元就を車に乗せしっかりシートベルトを着けさせ運転席に乗り込む。


「シートベルト外したら事故った時にガラスに飛び込んでこの世からさようならしてしまうのでしっかりしてて下さいね」


そう言えばふりだけできちんと装着していなかったらしい猿飛佐助のシートベルトを真田幸村が無理矢理装着させていた。

実に微笑ましい光景だ。
助手席に座る長曾我部があちらこちらを触りだそうとしていたのでうっかり事故らない為に少し脅せばすぐ大人しくなったのでよしとする。


「じゃぁ、発車します」


こうして長い長い買い出しは始まりを告げた




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