みんながでかくなったからか部屋がやたらと狭く感じる。

それなりに広い部屋なのだがいつもがいつもなのでまぁしょうがないだろう。


四人は暫く久々の本来の姿に感動していたが明日には戻ってしまうことを思い出しつかの間の本来の姿での生活を満喫するようにしたらしい。

元親は体格から諦めていた使わなくなった洗濯機の解体を(これは高さがそれなりにある上に運ぶのに力が必要なのだ)始め幸村は鍛錬を、政宗は自慢の料理を振る舞ってくれるという。うん。楽しみ。

そして元就とはいうといつものように定位置で読書をしていた。

小さい頃の姿より冷たさが目立つ顔立ちになった元就がカタカナ語辞典を片手に本を読む様は少し笑える。


「あきら殿!」


ソファーに座りながらそんな四人を眺めていたら不意に幸村に名前を呼ばれ窓の外へ顔を向ける。


「向日葵が某より小さいでござる!」


そこにあったのは庭の向日葵と背比べをしている幸村。
なにこれかわいい。

というかなるほど。中身までは元にもどらなかったのか。


「本当だ。ゆき大きいんだねー」

「うむ。まだまだ伸び盛りですぞ」

「元親や慶次くらい伸びないでね」

「なんででござるか?」


可愛くないから、なんて言えない。

いや、幸村なら大きくても可愛いのかな…。


同じ犬属性なのになんで文はあんなにうざいのだろう。


「(まぁ)」


私には幸村の身長が伸びきった姿を見ることはできないのだけどね。



ズキン、


自分で考えたくせに胸が痛むなんて、なんて自分勝手な胸だろう。





「おいしい」

「Ah?当然だろ」


そんなことをいいつつ政宗の顔は得意げだ。

政宗が作った昼食は本当に美味しく少しびっくりした。

そういえばこちらの伊達政宗も料理が上手かったか。


「きんぴらうま」

「あきらちゃん口調口調」

「あ。ついうっかり」


いやでも本当に美味しい。

味付けが私好みで食べやすいし。


「嫁に来ないか」

「あきらちゃん落ち着いて」

「mamが小十郎んとこに嫁いで来たらいつでも作ってやるぜ」

「竜の旦那それ笑えない冗談だから」


…猿飛がかわいそうなのでキャラ崩れはこれくらいにして。

政宗それ笑えない。
本当に。


「(小十郎さんには私なんかよりもっといい人がいますよ)」


なんて、口には出さないけど

あの日の告白は夢じゃないし小十郎さんが簡単にそういうことを言う人だとは思ってないが、だからと言ってそこまで大きい感情ではないと思っている。

じゃなきゃ、勢いだろうが酔っぱらっていたからだろうが小十郎さんは口にしないだろうから。


「…そっちの時代に嫁ぐなら慶次か元親希望」

「お、何でだい?」

「夫元気で留守がいい、ってね。
家にいるとうるさいし病気しても看病大変だし…元気で外にいてくれるのが一番。二人なら病気は無縁だしほとんど家にいなさそうじゃん」


元親は城主だからそれもそれでどうかと思うけど。
ひでぇ、とへこむ慶次と確かにな!と笑う元親を見ながら小さく笑う。


「ま、こんな平和ボケした時代で生きてきた私がそっち行ったら秒殺だよ秒殺」

「確かにね。なーんかあっさり殺されそう」


しかも抵抗せずに、と呟いた猿飛の声は私にしか届かなかっただろう。


「私が向こうの世界の人間だったら七人と会うことはなかっただろうし逆に七人がこちらの人間でもそうだろうから、それだけはあの自称神に感謝かな」

「某もあきら殿に会えたことは自称神殿に感謝してまするぞ!」

「ゆきは本当にいい子だね。よし、おいで!」

「小さい体ならともかくこの体の時は許可しません」


ちっ、オカンめ…



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小十郎が空気な件について






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