昼食であるトーストを食べながら目の前でココアに目を輝かせながらマグカップを両手で持つ三人を見る。

味覚が子供に戻ったのか三人共幸せそうな顔でココアを飲んでいる。
猿飛佐助曰わく真田幸村は大きくなっても甘党らしいが。

意外なのは毛利元就。
最初に日本茶を出したら長曾我部のマグカップを奪い取ってココアを飲み出したから長曾我部の物を入れ直したのはつい先程の話だ。


「さて。これからの話をしましょうか」


自分の紅茶をぐびっと飲み干し話を切り出す。


「これから皆さんにはこの家で過ごしていただきます。
が、私と仲良くしろとかなれ合えとは言いませんので選んで下さい」

「選ぶって?」


こてん、と首を傾げる前田慶次。
体が小さくなってないから本人はあれだけどその頭の上で同じ様に首を傾げてる夢吉の可愛さが半端なく危うくにやけてしまいそうなのを必死に耐えた。


「家の中の調理器具はさっき説明しましたね?他にも生活に必要な絡繰りの使い方は説明しますので自分達で勝手に生活するか、若しくは私が手助けするか。
もし私の手助けが必要ならば精一杯手助けさせていただきます。
どちらにせよこの家で暮らしていただくのに変わりはないのでこれは主に食事関連になりますね」


戦国時代から来た人間に見ず知らずの人間が作った料理を食えとはいわない。いくら私に七人が殺せないと言えどそれを保証ものはないしだったら自分達で作ってもらった方がみんな安心するだろう。私も一々疑われるのは面倒くさいし。

ちなみに最後のが本音だ。


「我は世話になろう」


一番最初に口を開いたのは意外や意外、毛利元就だった。


「俺も世話になってもいい?」


そう続いたのは前田慶次。


「俺も世話になりてぇ」


ココアを飲み干しグッと口元を拭いながらやっぱり男前に言う長曾我部元親。

長曾我部と毛利はどちらを選ぶにしろフォローするつもりだっからよかった。流石に保護者がいない中勝手に生きろとは言えない。

前田もまぁまぁ予想通りで。
問題は残りの四人。


「俺様達は暫く様子を見させてもらうよ」「俺達もそうさせてもらう」


猿飛佐助と片倉小十郎の答えは予想通りのものだったのでわかりました、と頷くだけにした。
真田幸村が何か言いた気にしていたのは気になったが、まぁいい。

とりあえずやらなきゃいけないことからやろう。

そう思い立ち上がった私に視線が集まる。


「どこ行くんだ?」

「皆さんに確認して欲しい物があります。
少々待っていただいてもよろしいですか?
怪しいことはないですが…まぁ、ついてきて下さってもいいですよ」


前半は首を傾げる様子が可愛い長曾我部元親に、後半は猿飛達を見ながら言えば片倉と目配せをした後猿飛がついてくることになった。

私が向かうのはリビング。

部屋の隅に置かれた幾つかのダンボールの山の前に行き、中身を確認しながらそれを持って立ち上がる。


「それは何?」

「皆さんの衣類です」


自称神様が用意してくれた必要最低限の洋服。
必要最低限、とは本当に最低限の物で普段着、寝間着、下着それと履き物が一人一組ずつ入っていただけである。


「ふーん。こっちではあんたが着てる様な服が一般的なの?」

「そうですねぇ。
今着ている様なのが洋服、皆さんが身につけてらっしゃる着物は和服と呼ばれてて、今は洋服が主流です」


ダンボールを抱えたまま客間に戻ればみんなは私が部屋を出たときのままの位置に座っていた。


「みなさんにこちらの衣類を一旦着て頂きたいのですが大丈夫ですか?」


尋ねながらも三つあるダンボールの中からそれぞれに用意された衣類を取り出す。


「此方が伊達さん、此が片倉さん。こっちが真田さんでその隣が猿飛さん、前田さん、長曾我部さん、毛利さんの順です。
あ、毛利さんのは元の体に合わせたサイズか…みなさんの服の大きさが合っているか確認したいだけなので毛利さんはひとまず長曾我部さんの寝間着を着てみて下さい」


でも細身だからちょっと大きいだろうな…だからと言って真田幸村のじゃ小さいか。


「…出てかないのか?」


長曾我部元親…長いな…長曾我部がジトッと見てくるのに首を傾げる。


「着方、わかりますか?」


うっ、と言葉に詰まる長曾我部に苦笑して「襖の向こうにいるのでわからなかったら呼んでください」と告げて廊下に出た。


距離感が難しいと思う



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