触れ合いパークを出て昼食をとった。
さぁ次に行こうか、というそんなとき。


「あきらちゃん、旦那知らない?」

「え?」

「風来坊もいないぜ」

「ええー」


迷子が二名発生した。


「…あれほど、離れるなと言ったのに…」


頭を抱え重たいため息をつく。


「しょうがない…探しに行こうか。猿飛さんと元親、元就はあっちから、私と政宗と小十郎さんはこっちから探して見つけたらここまで戻ってこよう。見つけなくてもあの時計が二時をさすまでにここに集合」


パンフレットを片手にてきぱきと指示を出す。


「はい、じゃぁ出発ー」


緩い声と共に迷子達を捜すため歩き出した。


「全くあいつらは…」


小十郎さんも呆れかえっている。


「政宗もはぐれないように手、繋ごうか。
…とりあえず先に見つけたいのはゆきだけど探しやすいのは慶次だよね」

「あいつは派手だからな」


政宗の手を取りながら呟けばそれに政宗が同意。そうなんだ。慶次はデカいし派手だから目立つ。だからまず大丈夫なんだけど…


「ゆきはなぁ…」


目立つといえば目立つが小さいし何をしでかすかわからないから早く見つけたい。




「ゆきー」


名前を呼びながら園内を歩き回る。


かれこれ二十分は探しているのだけどなかなか見つからない。


「あきら、あそこは何だ」

「え?あぁ、あそこは…」


小十郎さんが指を指した先を見る。
あそこは確か…


「あ!」


そうだ。幸村を探すんだったらあそこを一番先に行かなきゃいけなかったんだ。


「あそこはデザート…甘味売り場です。あそこにいるかも」


って言うか、多分確実にいるだろう。


「確かにアイツが行きそうな場所だな」

「どこまでもsweetsに弱いやつだからな」


はぁぁぁ、と三人でため息をついてスウィーツショップに足を進めた。




スウィーツショップに入れば案の定幸村がショーケースにへばりついていて。


「ゆき!」


名前を呼べばビクッと体を震わせこちらを向く幸村。


「あきら殿!」


とてててて、と駆け寄ってきて私の腰に抱き付く幸村に珍しいな…なんて思いながらその頭を撫でた。


「勝手にいなくなっちゃダメでしょ」

「も、申し訳ござらん…それがし、前田殿がふらふらとどちらかに向かうのを見て急いで追いかけたのですが見失ってしまい…あきら殿達の居場所もわからず愕然としていたら、その、甘い香りが…」


すぐにあきら殿達と合流せねばとも思ったのですが…と私の腰にしがみついたまましゅん、とうなだれる幸村に苦笑する。


「つまり、慶次が悪いわけね」

「お前は真田に甘くていけねぇ。どっちもわりぃだろ」


結論を出せば政宗につっこまれた。
いやいやそんなことないよ。


「次こんなことがあったら猿飛さんか誰かに言ってからにすること」

「承知いたした」


幸村の手を引き、店を出る。


「慶次は見つかったかな…」

「見つからなかったら置いていけばいい」

「小十郎さんさりげなく慶次嫌いですよね」


まぁ本当に見つからなかった場合置いていくけども。
なんだろう、あの軽い感じが嫌なのかな?それともその軽さでいろんなものを隠しているとこ?


「まぁ、とりあえず集合時間まで時間あるからもう少し慶次を探しますか…動物を見ながら」


そう言った途端に「それがしはしまうまが見たいですぞ!」「kangarooが見てぇ!」と騒ぎ出す二人に苦笑しながら幸村の手を握り直し歩き出す。

こっから近いのはカンガルーかな。縞馬はその後にして…待ち合わせ場所までの道筋を考慮しつつ回る順番を決めていく。


「ふおー!」


カンガルーの檻の前で興奮する幸村の頭を撫で、「あのポケットにいるのが子供か…」なんて聞いてくる政宗に「そうだよ」なんて返し、小十郎さんと「カンガルーは意外に強い」なんて話をしたり。


…なんかこう、なんというか、


「親子みたいだね!」


心の声を代弁するかのように聞こえた声にビクッとする。

振り返ればさっきまで探していた人物がいて。


「慶次…どこ行ってたのさ」

「いやぁ、夢吉がいなくなって探してたらいつの間にかはぐれてて」



いつの間にかも何も探しに行った時点ではぐれてたんだろうよ。


「離れる時は誰かに言ってから離れてよ」

「ごめんよ」

「夢吉が原因なら許す。で、夢吉はいたの?」「うん。仲間のとこで一緒になって餌取り合ってた」


…夢吉…。いや、気持ちはわからなくないのだけども、そうか。


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