九月半ばと言えどまだまだ暑さは続く。酷暑?勘弁してくれ。


「あきら殿!あれはなんでござるか!?」

「あきら!あれはなんて動物だ!?」


そんな中、私達がいる場所と言えば何故か


「動物園って名前の通り動物がいっぱいだねー」


キリン象ライオン猿、なんでもござれ"動物園"だったりする。



事の始まりは一週間前だった。

たまたまテレビで某夢の国の特集をやっており、それを見たみんな(主に幸村政宗元親慶次)が連れて行けと騒ぎ立て、はいはい何処までもついてきますよーと言う自称忍と口には出さないものの目を輝かさせた元就が便乗し、我が儘を言うのは感心しませんな…なんて主を窘めながらも味方はしてくれない小十郎さんにあの手この手で逃げようとしたものの全て無駄なあがきになってしまった。

まずここまでで三日だ。
三日、逃げ切った。

結局折れた私は今度は得意な話術で夢の国は身長が足りなかったりして乗れるものないかなーなんて言いながら遊園地ではなく動物園にするように説得した。

遊園地なんていってみろ。どんな酷い騒ぎになるか。

これには大して時間も掛からなかったがその代わり電車で行くことを条件に出され私も遠方までの運転は嫌なので承諾。

嫌な言い方だが金はある。

だがもしもの時のためあまり使いたくないのは確かだ。

そしてその時叔父から貰った"お小遣い"を思い出した。

その中にはやっぱりというかなんというか旅券やお金に混ざり動物園の入場券も入っていて、叔父に心の中で感謝しながら旅券と入場券を駆使し出来るだけお金を使わず小旅行へ行くことにした。

きっと動物園は疲れるだろうからどうせなら向こうの旅館に泊まることにしよう。あぁそういえばあそこの近くには叔父が懇意にしている旅館があったな。

そんなことを考えながら計画を立てていき、平日の今日動物園へやってきた。


「まず何から見ようか」


動物園内の地図を手に訊ねる。


「それがし虎がみたいでござる!」


しゅぴっと挙手をして自己主張する幸村の頭を撫でもう一度地図を見る。


「うん。虎なら近くにいるから虎から行こうか」


猿飛から聞いた話によると親方様こと武田信玄公は甲斐の虎と呼ばれ、幸村は虎若子と呼ばれているらしい。

だから虎なわけか。


「ふぉぉぉお!」

「でけぇな」

「迫力あるじゃねぇか」

「あっ、大丈夫だから逃げんなって夢吉!」


虎を前に興奮する幸村に感嘆の声をあげる政宗と元親、逃げようとする夢吉を捕まえる慶次。

…夢吉にはちょっと酷な場所かもしれない。

猿飛は「これ本当に出てこないの?」と檻を触り小十郎さんと元就もそれぞれ感嘆の声をあげていた。


「可愛いですね」

「…可愛いか…?」

「可愛いですよ。あの牙剥いてる辺とか」


小十郎さんのまるで珍獣を見るような目は気にしないことにしよう。可愛いじゃないか。虎。


「heyあきら。ぞうはいるか」

「いるよ?すぐ近くにいるから次行こうか」


みんな大体の動物はわかる。
私が動物の番組が好きでよくみてるのとそうじゃなくてもテレビを見てれば自然と覚えると言っていた。

ただし実物は犬や猫、馬やうさぎなど戦国時代にいた動物だけなのでなんだかんだ今日を楽しみにしていたようだ。

それからキリンやライオンなど定番の動物を見て回り、そのたびにはしゃぐ幸村達をみてよく疲れないもんだ、と小十郎さんと苦笑し猿山では夢吉が猿達に混ざりに行きそうになり必死におさえたりもした。
あと「仲間が沢山いるぜ?monkey」と政宗が猿飛に喧嘩を売ったり。



「次は…触れ合いパークか」

「触れ合いぱぁく?」


猿飛の平仮名発音にうっかり萌えてしまった。なんか悔しい。


「名前の通り動物と触れ合える場所ですよ」

「へぇ…」


旦那大丈夫かな…と猿飛が呟いたのが聞こえた。

きっと心配しているのは幸村ではなく幸村と触れ合う動物達のことだろう。


「あきら、こやつは何という名前だ」

「この子はラマ。鼻が凄く気持ちいいんだよ」


元就を抱き上げ鼻を触らせてみる。
珍しく抵抗されなかった。


「ゆき、大声出しちゃ駄目だよ?」


入る前に散々念をおしたからか幸村は静かにうさぎと戯れている。


「うわっ、すげぇな毛利…」

「ふん、当然のことよ」


そんな会話に声のした方を見ればうさぎやモルモットに囲まれる元就とそれを見て顔をひきつらせる元親。


あぁ本当に、今日はよくデジカメが活躍する日だ


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