子ども達が寝静まった後。
大人組で一日の頑張りを称えいうものように酒盛り(ただの晩酌)をしていたとき、不意に洋服の裾を掴まれた。


「あきら…」

「あきら殿ぉ…」


どうやら後で移動させようと和室スペースに雑魚寝させていた弁丸と梵天丸が起きてしまったようだ。

二人は私の服の裾を掴みもう片方の手で自分の目を擦っていた。


「どうした?」

「うぅ…こじゅぅ…」


私から離れ小十郎さんの方に手を伸ばす梵天丸と猿飛の腰にしがみつきぐりぐりと頭を押しつけている弁丸。


「か、かわいい…」

「かわいいねぇ」


そんな二人に慶次と二人で萌えながら残っていたお酒をグイッと煽る。
今日は酎ハイがキれたのでブランデーだ。


「旦那、布団行きましょか」

「梵天丸様もお部屋に参りましょう」

「や!」

「や、でござる」なんというか。中身が大人のままな普段の二人がわがまま言うんだったらねじ伏せ…ごほん、…シカトするのだが今の二人は中身も子ども。
しかも可愛いだなんてそんな。シカト出来るはずがない。


「何が嫌なの?」

「…つぎねたら朝まで起きねーもん」

「あさになったらあきら殿はいないのでござろう?」


な、なんなんだこの可愛い生物達は。


「(ちゃんとわかってるのか)」


明日には元の生活に戻ってしまうって。


「(そして悲しんでくれている)」


離れたくないと、言ってくれている。


「…そっか」


あぁもう。


「そっか」


嬉しい、じゃないか。


「今日、一緒に寝ようか」

「え?」

「明日、みんなが帰っちゃうのは変えれないけど…一瞬でも長く一緒にいれるように」


一緒に寝よう。
そう言うと二人は一瞬驚いたような顔をし、それから目を輝かせて大きく頷いた。


「…僕たちも、一緒に寝ていい…?」


いつの間にか部屋の入り口に立っていた弥三郎と弥三郎に手を捕まれている松寿丸。


「じゃぁ、みんなで雑魚寝しようか。
小十郎さんや慶次も」


え!?と驚きの声を上げる三人など目に入ってないようにはしゃぐ三人(+仏頂面一人)に先に客間に行くように言って大人組三人を振り返った。


「と、言うことなんで三人とも自分の部屋から布団を運んできて下さい」


そりゃぁもう、いい笑みだったとあとから猿飛に言われるくらいの笑顔だったらしい。



三人(主に猿飛と小十郎さん)の反論は一切聞かず(危機感がないとか嫁入り前の女が男と床を共にするなどとか)(じゃぁあんたらは子供や他の人間がいる前で人を襲うのかと言ったらまた怒られた)客間に行って押し入れから二組の布団を取り出してその場に敷いた。
私の部屋、ベットなんだよね。


それからまだ渋っていた猿飛と小十郎さんに弁丸と梵天丸を派遣し無理やり布団に引きずり込み消灯。

私を挟むように弁丸と梵天丸が眠り、弁丸と同じ布団に猿飛、梵天丸と同じ布団に小十郎さんが眠り、(これに関しては二人を無理やり引きずり込んだ結果だ)(主と同じ布団で寝るなんて…とか忍は布団いらないよ、という言葉はスルーだ)(第一逃げ出さないように二人に服掴まれてるし)(明日の朝が楽しみだ)私の頭上に此方を頭にするように松寿丸と弥三郎が、その隣に慶次が眠っている。

つまり私はちびたちに囲まれてるわけだ。

既に夢の中に旅立った四人の健やかな寝顔を見て微笑む。

寝顔は本当に可愛い。


「なんか今日いつもより楽しそうだったね」

「そうですか?」


弁丸が私と猿飛の服をつかむように寝ているため私は弁丸の方を向いて寝ている。

猿飛は仰向けだから向かい合ってるわけじゃないけどもその距離はかなり近い。

にも関わらずこれっぽっちも緊張しないのが不思議だ。

あれか、私が枯れているからか。


「子供好きなの?」

「…いや、そこまででも…」


嫌いではないが好きとも言えない。
親戚の子の面倒を見てたから慣れてはいるけど。


「四人が特別可愛かったからですかね。あとは、心境の変化?」


昨晩、家族の話をした。
何年かぶりに思い切り泣いた。
それだけで少しだけ、少しだけ気が楽になったから。


「心境の変化があったならそろそろ敬語やめない?」

「それとこれは別です」


えー…、と情けない声を出す猿飛にくすくすと笑う。

そろそろ寝よう。

自分の部屋か、勝手に改造(改良)してるらしい屋根裏で眠る…もしかしたら眠らないかもしれないけども…今日一日いつも以上に働いてくれたお母さんを少しでも休ませるために。「おやすみなさい」

「うん。おやすみ」



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