※女の子の日についての話です。
そして下ネタも入るので苦手な方は飛ばして下さい



そう言えば、と隣で洗濯物を干している猿飛を仰ぐ。


「どうした?」

「皆さんの時代って、月のものが来た女性って確か隔離されたり忌みられたりしてましたよね?」


ぽふん、と猿飛の手から洗ったばかりのタオルが落とされた。


「あ、」

「女の子がそんなこと口にしちゃいけません!」


なんで母親口調なんだ、と呆れた。

月の穢れだと言うくらいだから良いものとされてなかったなぁ、とふと思い立ったのだ。

見れば周りで鍛錬をしていた他の武将達も固まっていた。
あ、幸村とか顔真っ赤だ。


「いや、ちょっと確認したかったから」

「だからって…まぁいいや、何?」


脱力した猿飛に若干の申し訳なさを感じながら口を開く。


「いや、私も女だから一応毎月来るわけじゃないですか。
その時出来るだけ部屋に篭もってた方がいいのかなぁ、と」


一応国のお偉いさん達なわけだしそういうことを気にするだろう、と聞いてみたのだが。


「この世界ではどうなの?」

「大抵普段と変わらない生活をしますねぇ」


衛生面で禁止されること(銭湯とか水泳とか)はあれど隔離とかはない。


「じゃぁいつも通りでいいんじゃない?
旦那達もいいよね?」


頷く六人にならいいか、と納得。
小十郎さんにはもうちょっと慎みを持てと怒られたが大切なことだから今回は見逃してほしい。


「あきらちゃんは腹が痛くなったりするのかい?」


慶次、それ一歩間違えればセクハラ、と心の中で呟く。


「喜多はイライラしてたな…なぁ小十郎」

「…えぇ」


喜多、とは確か政宗の乳母、だっけ。


「腹痛はあるし無駄に苛々もするよ。
あと微熱が出たり…そうなったら自主的に部屋に引っ込むから多分迷惑は掛けないとは思うけど…にしても月の穢れってちょっと嫌な言い方だよね」


最後のタオルを干し終えて洗濯物を入れていたカゴを抱えた。


「こっちは赤ちゃんを産む準備をしてるって言うのに」

「月のものとはどういう原理で起こるのだ」


元就が私の呟きに説明しろ、と言った。


「女性の子宮…大体ここら辺にあるんだけど、簡単に言うと男の人が種子…正しくは精子ね…を持っているとしたら女性もそれに近いものがここにあって、男性の精子と女性の持つ卵子が結びついたら子供になるんだよ。
その子宮の古い内膜が剥がれ落ちて血と一緒に外に出るのが皆の言うところの月のもの。
あとここは将来赤ちゃんのベット…寝床?になる場所だから間違っても女性のここに乱暴しないように」


痛いんだよ。下腹部強打されるのって。


「ふむ…それで血が出るのか」

「苛々するってのは腹痛からか?」


こてん、と首を傾げる元親に違う違う、と笑いながら否定する。


「詳しく説明すると難しいんだけど…なんか意味もなくどうしようもなく苛々する日ってあるでしょ。そんな感じかな?
本能的っていうか…なかなか制御できないから大変なんだけどさ」


女性ホルモンがうんたら…なんて言ったところでわからないのはわかっているのであってるようで実はあっていない、そんな説明をしてみた。
要は自分でも制御しがたいってことが解ってくれればいいのだ。


「女の子は大変だね」

「本当だよ。
だから女の子には優しくね」


なんて慶次には言うまでもないんだろうが。
慶次は女の子に甘い。


「ま、怖くもあるがな」


小十郎さんの言う怖さがどれを指すのかは敢えて聞かないようにしよう。

女の子は強いんです。
色んな面でね。


「あきらちゃんは女の子なのに女の子大好きだよね」

「観賞用としてはね。
ふわふわしてるしいい匂いするし大好き。
ただ女の世界は怖いよ?」


どろどろのぐっちゃぐちゃだから、と言えばみんなが青い顔をした。

女の子は好きだけど女の世界は好きじゃない。

三人いれば虐めが起こる、なんて例えられるような世界は。

とまぁなんでこんな話をいきなりしたかと言うのは明日になればわかることで。




「…痛、い…」


月経について七人に話したのが昨日のこと。
その数時間後には周期通りの日にちで月経が来、二日目の今日私は酷い腹痛に襲われていた。

こんな時に限って数ヶ月に一回しかない酷い時にあたり、あたふたと心配する幸村や元親を宥めながら大きなソファーベットに沈む。
本当なら部屋で寝ていたい所だがリビングで紅茶を飲んでいた時に痛みの波が襲ってきたため波が退くまでここで休むことにしたのだ。

いつもはこんなに痛みはないのに本当ツいていない。
昨日のうちに月経について話しておいてよかった。


「大丈夫か?」


顔をのぞき込む政宗に「へーきじゃない、かも…」と返せば何処から持ってきたのかブランケットを私に掛けてくれた。

猿飛はスーパーへ買い物へ行き(彼はこの世界に馴染みすぎだ)小十郎さんは畑、慶次は散歩へ出掛けた。

私の世話はもっぱら幼児化武将達がしてくれていた。


「元親ー、私の鞄から青いケース取ってきてくれない?」

「あぁ」

「幸村、は身長足りないか…元就、冷蔵庫から水持ってきて欲しいんだけど」

「…仕方あるまい」


少し痛みが引いてきたのを感じゆっくり体を起こす。


「持ってきたぜ」


元親から薬の入ったプラスチック製のケースを受け取り元就に取ってきて貰った水を口に含み痛み止めを飲んだ。

薬は効かない体質だけど気休め位にはなるだろう。


「先程よりは顔に色が戻ったな」


さっきまで我関せずと本を読んでいた元就が私の顔をチラリとみて呟いた。

私は元就を抱き上げ膝の上に座らせぎゅぅっと抱き締めてみた。


「な、何をするっ、離さぬか!」

「可愛いなぁもう」


キャラが違うのは見逃してほしい。即効性の痛み止めのせいで緩やかな眠気に襲われいるんだ。


「Hey、毛利だけずりぃじゃねぇか」

「ん、政宗も来る?」


元就を解放し変わりに政宗とついでに幸村も抱き上げ同じように抱きしめる。


「は、はれっ、はれん…破廉恥、…!」


初すぎる幸村の反応に軽く笑いながらぎゅ、っと私の服を掴み胸に顔を埋めている政宗の髪を撫でる。

元は19歳と17歳と聞いたが気にしない。今は二人ともせいぜい4、5歳だ。


「ゆきはぎゅってしてくれないの?」

「う…っ、あ、……」


恥ずかしがりながら政宗と同じようにぎゅっと抱き付く幸村に顔が緩む。


「よし、最後は元親」


二人を膝から下ろし元親を抱き上げる。

元親は呆れながらも大人しく抱かれてくれた。
なんかその言い方もあれだけど。


「一番体温高いのはゆきか」最終的に抱き枕に決定した幸村を抱え再びソファーに沈む。


「あきら殿…!?」

「痛みが引くまでこのままでいて」


慌てふためく幸村を抱きしめたまま薬の副作用である強い眠気に意識を委ねた。


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