元就の後は昨日と同じ順番で入浴すると聞き、事実元就と入れ違いに慶次と元親が風呂へ行った。夢吉はそれについて行かずソファーで跳ねて遊んでいる。

昨日同様ドライヤーで元就の髪を乾かせば眠りはしないものの瞼は大分重たくなっているようで時々カクン、と頭が揺れるのが妙に可愛い。

姿が小さいって狡い。


「元就、眠いなら部屋に行きなよ」

「…ねむくなどない」


嘘つけ舌っ足らずだぞ

とは本人の前では言えないので心の中で呟いておく。


「しょうがない」


よっ、と元就を膝の上に抱き上げソファーに座る。
何をする!と暴れる元就を軽く抱きしめ背中を子供をあやすように一定の速度で叩けば直ぐに元就の体から力が抜け気が付けば規則正しい寝息が聞こえてきた。


「かわいい」


ぷくぷくの頬をつつきながら呟く。


「慣れているな」


いつの間にか隣に座っていた小十郎さんが呟く。


「親戚の子の世話をよくしてたから」


それにしても昼間あれだけ寝てまだ寝れるのか、とちょっと笑ってしまった。


「そうしてるとfamilyみてぇだな」


政宗が意地の悪い笑みを浮かべ言う。
小十郎さんはふぁ…?と首を傾げてるし。


「私と小十郎さんの子にしては随分ひねくれた子が生まれたもんですねぇ」


なんとなくノってみたら政宗は笑い猿飛は苦笑した。


「まぁ、私は母親なんてガラじゃないですけどね」


元就を抱いたまま立ち上がる。


「布団に寝かせて来ます」


にしても軽いな…いくら子供とはいえ。
お風呂で見たときも細さにびっくりしたけど実際抱き上げると元親との差がわかる。
だけど何気にご飯いっぱい食べてるし…こっちにいる間に否が応でも太るだろう。

そうであればいいと思う。


元就を一旦畳まれた状態で置かれた誰かの布団に置きその隣に同じく畳まれたまま置かれてある布団を敷き寝かす。

肩まで布団を掛けくしゃっと髪を一撫で。


「おやすみ、元就」


穏やかな寝顔にそう言って部屋を出る。

リビングには既に慶次達が戻って来ていて、やっぱり髪を乾かしている途中で寝てしまった元親を小十郎さんが部屋に連れて行き今は慶次の髪を乾かしている。


「気持ちいいんだよなー、これ」


ふにゃりとした笑顔でそう言われれば気分は悪くない。


「髪いじられるのって気持ちいいよねぇ…。頭を撫でられたりさ」


それに笑いながら返し仕上げの冷風をかければありがとな!と礼を言われた。
今日は眠くはならなかったらしい。


「あきら殿!」


そのまま慶次と談笑していたら幸村がトタトタと走って目の前まで来た。
い、犬耳と尻尾が見えるのは気のせいだろうか。

取りあえず。


「髪、ちゃんと拭かないと風邪ひくよ」


そう言って幸村の肩に掛けられたタオルでまだ充分に水気のある髪をわしゃわしゃと拭く。
気持ちよさそうに目を細める幸村をついぎゅっとしたくなったが猿飛の目があるので我慢。


「ゆきはどうする?ドライヤー。猿飛さんがやった方がいい?」


ゆき、ではなく猿飛の方を見ながら言う。


「それがしはあきら殿にお頼み申します!」


それにも関わらずにこにことしながらそう答える幸村に一瞬きょとんとし猿飛を仰げば猿飛もきょとんとしていてつい見つめ合ってしまった。


「(破廉恥はどこ行った)」これは私に慣れたからかもしくは私が女だと思われてないのか。
きっと後者だろう。

猿飛が苦笑して頷いたのを見て幸村を抱き上げ膝の上に座らす。
幸村は元親や元就より小さいからこうした方が乾かしやすいんだ。


「熱かったら言ってね」


そう言って髪を乾かし始める。

子供独特のさらさらとした柔らかい髪に軽く嫉妬しながら適度な距離から熱風を当てる。


「意外に量多いんだね」


慶次程ではないが多い髪。
こりゃ将来は禿げないな、なんて大きなお世話なことを考えながら。


「ん。終了」

「…ありがとう、ござりまする…」


既に半分夢の世界へ旅立ちながらもきちんと礼を言う幸村が可愛くてつい後ろからぎゅーっと抱きしめた。


「わ!」


真っ赤になってあわあわしながらもすぐに照れたような顔で私の腕に顔を埋める幸村をもう一回ぎゅっとして猿飛に渡せば猿飛は苦笑して幸村を受け取り布団に寝かせに行った。

それと入れ替わりに入ってきたのは小十郎さんと政宗。
…やっぱり風呂上がりの小十郎さんは色気が、凄い。


「政宗はどうする?」

「…小十郎」

「小十郎さんね」


政宗の頭をぽんぽん、と撫で立ち上がり小十郎さんにドライヤーを渡す。


「じゃ、私も湯浴みしてきます」


その言葉に慶次の肩に乗っていた夢吉がキキッ!と駆けて来たのですくい上げ肩に乗せる。


「今日も一緒に入る?」

「キッ!」

「ずりぃぞ夢吉ー」


元気に返事する夢吉とにこにこしながらそんなことを言う慶次。
何言ってんだか。


「昨日みたいな格好で出てくるんじゃねぇぞ」

「はーい」


小十郎さんがどんどん父親化してる気がする。


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