料理はそれなりに好評だった。若干一名「食べれなくはない」という可愛くない感想を貰ったが。
でも猿飛佐助や片倉小十郎の料理が本当に美味しそうで真田幸村と伊達政宗が羨ましかったです。まる。
食器を洗ってお風呂洗ってお湯溜めて…どうしようか。
全員分の服を畳んでそれぞれに分けながら首を傾げる。
「どうかしたのか?」
そんな私に長曾我部が首を傾げるわけだから二人して首を傾げてるという変な光景になってしまった。
二人とも何してんだ?
いや、なんとなく
ふん、馬鹿共が
「湯浴みの準備が出来たのですが」
「おう」
「私も一緒に入っていいものかどうかと…」
「待て、なんでそうなった」
あ、片倉様。どうしましょう
だからなんでそうなったんだ
「皆さんの時代の湯浴みの仕方とは全然違うのですが一回教えてはいじゃぁやってみて下さい、と言うのはちょっと難しいのですよ。だから一人一人教えながら洗っていこうと。あ、ちなみにこっちでは湯浴みは全裸でします」
「は、破廉恥でござる!」
「一緒と言っても私は服着たまま入るつもりですが…丸腰の皆さんに危害を与えるんじゃないかと言われたらあれだからそうなったら私も脱ぎますが」
いや、でも今も丸腰か?
言い終わってから周りを見れば大半が赤面もしくは気まずそうな顔をしてた。
何に照れたんだ?全裸か?
「貴様に恥じらいというものはないのか」
「残念ながら殆ど」
女の子らしい恥じらいは母親の腹の中に置いていった。しかし妹は人並みの恥じらいしかないため一人分の恥じらいは未だ母親の腹のなかに残っているだろう。有り得ないけれど。
というかむしろ慣れてくれたらこれからの季節薄着したいから嬉しいというのが本音だったりそうじゃなかったり。
「あ、私が脱ぐ場合タオル…大きい手拭い?は巻きますよ」
「そういう問題じゃないんだけどなぁ」
と、戯れ言は此処までにしておくか。
「前田様、人に体を晒す抵抗はありますか?」
「ここにいるみんなよりはないと思うよ」
「では協力していただいてもよろしいですか?
まず前田様に教えながら実践していきます。
それを猿飛様と片倉様に見ていただいてそれぞれ真田様と伊達様に教えていただきたいのですがよろしいでしょうか。一応我が家の湯殿は一般のものより広めなので複数人入れるので毛利様と長曾我部様も前田様と入っていただきましょうか」
一気に言い切り前田慶次を見上げれば「女の子に洗ってもらえるのかー最高だねぇ」とのこと。
「は、は、破廉…むぐ!」
「はいはい叫ばないの。
それが一番効率いいんじゃない?」
「そうだな。そうしよう」
保護者組みに了承を得れたので前田慶次、長曾我部、毛利元就に自分たちの着替えを持ってくるように言い、その間に自分の部屋で濡れてもいい格好に着替え浴室へ行く。
キャミソールとショートパンツで行こうかとも思ったがうるさそうなので普通にTシャツとハーフパンツだ。
脱衣場では既に前田慶次が腰にタオルを巻いただけの格好になっていたため浴室の扉を開け先に入り、椅子に前田慶次を座らせる。
「広いねー」
猿飛佐助が言うとおり広めの浴室は檜風呂…ではなく和風な外見の家からすればギャップのある白くてジャグジーが付いている浴槽にシャワーは何故か二つ。
「これはシャワーと言います。こちらの蛇口を開くとここからお湯や水が出ます。
赤い方がお湯、青い方が水で、このレバーを下に向ければ下の水道から同じ様にお湯や水を出すことが出来ます」
説明しながらやってみせればおお…と感嘆の声があがった。
「温度は大丈夫ですか?」
「ん。平気だよ」
「では頭を濡らしていきますね」
シャワーで髪を濡らしていく。髪が多いから大変だ。
「頭を洗うのはこの青い入れ物。これくらいだけ手に取って手の中で泡を立てて髪を洗います」
わしゃわしゃと爪を立てないように指で洗っていく。
シャンプーの香りと泡の感触が心地いい。
「痒いとこはないですか?」
「おう」
「泡流すんで目と口開かないで下さいね」
泡が残らないように丁寧に流して終了。
「シャンプーは目に入ったらしみるので入らないように注意してもし入ったらすぐ目を洗って下さい。
この緑色の入れ物がリンス。これはしてもしなくてもいいけど一応しておきます。頭皮に付かないように髪に馴染ませます
」
前田慶次の長い髪にリンスを塗っていく。
くそ、綺麗な髪だな…。
「リンスを流して…体を洗うのはこの橙色の入れ物。
この布につけて泡立てて洗います。
背中洗いますね」
前半は全員に、後半は前田慶次一人に向けて言う。
広い背中だ。
肩もがっちりしてて男の人なんだな、と実感。
「前は自分で洗って下さい。
全身を洗ったら髪と同じ様にシャワーで洗い流してから浴槽に浸かって温まれば終わりです。
何かわからなかったりしたら呼んでください」
首に掛けていたタオルで腕と足を拭き浴室から出ればそこでは腰にタオル姿の毛利元就といそいそと服を脱いでる長曾我部がいた。
「お待たせしました」
「…どこへ行く」
「え?そうですねぇ…リビング…さっきまでいた部屋にいましょうか」
「あやつの髪は洗えて我の髪は洗えぬのか」
なんだこれ遠回しに髪を洗えと言われているのか。
遠回しというかそういうことだよね?
「どうぞ。ただあまり上手いとは言えませんよ?」
「貴様を見ればわかる」
怒りませんよ?大人ですから。ただまぁ
「洗い終わった後髪が一房無くなっているかも」
これくらいの反論は許されますよね?
「…」
「…」
「早くせんか」
無言の応酬に折れたのは毛利元就だった。
私ははい。と素直に頷き再び浴室に戻る。
その後流れで長曾我部の髪まで洗うことになったのは言うまでもないだろう。
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