お風呂上がりに化粧水と乳液を適当に塗りたぐり髪を乾かしもうみんな寝ただろう、と薄着のままリビングへ行けば予想外にも大人組三人がまだ起きていた。びっくり。


「おま…!なんだその格好は!」

「皆さん寝てるかと思ってついいつも通りの格好で来ちゃいましたよ」


とは言っても念の為にタンクトップとハーフパンツという格好にしてたのでまだよかった。
いつもならノーブラでキャミソール、ショートパンツなんてザラだ。


「ちょっと着替えてきます」


しょうがない、とリビングを後にし和室に置きっぱなしだった浴衣を着て再びリビングへ行けばまだ渋い顔をされたものの(浴衣も駄目なのか)文句は言われなかったので冷蔵庫から何本か缶を取り出し三人が座る和室スペースへ持って行く。


「キキッ」

「お、夢吉!忍君から聞いてたけど本当にあきらちゃんと一緒に湯浴みしたのかー」


私の肩から本来の定位置である前田慶次の肩に移る夢吉に羨ましそうな声で言う彼につい笑ってしまった。

猿飛佐助の隣、片倉小十郎の正面という位置に座り持ってきた缶を開ける。


「それ、さっき買ったやつ?」

「はい」

「さっきのんだじゅぅすってやつ?」


ジュースが平仮名発音になってて妙に可愛い前田慶次に違いますよーと返し缶の中身を一口飲む。ジュースを知っているのは夕飯の後に試飲大会をしたから。
毛利元就が炭酸に吹いたのが面白かった。


「まぁ、ジュースに近いですが。一応お酒です」

「へぇ!美味しいの?」

「これは甘いですよ。他に色々あるから持ってきましょうか?」


今飲んでるのは酎ハイ。私は基本的に酎ハイやブランデー、カクテル等の洋酒しか飲まないが一応日本酒や焼酎、ビールもある。


「酒、強いのか」

「強い方だと思いますよ。顔はすぐ赤くなるけど我を忘れたり記憶飛ばす程酔ったことはないし…とは言っても弱いお酒ばかりだから皆さんには負けますが」


あぁ、一本終わってしまった。
もう一本持ってきてあるけどついでだから何かつまみと他のお酒持ってくるか。


「あ、猿飛様と前田様ってお幾つですか?」

「22歳だよ」

「俺様は内緒」


猿飛佐助の語尾にハートがついててうざかったです、まる。


「三人とも二十歳は越えてますよね?」


片倉小十郎は見るからにだし猿飛佐助も多分越えてるだろう。


「なんで?」

「こっちではお酒は二十歳から、なんですよ」

「え?あきらちゃん何歳?」

「これでももうすぐ21歳ですよー」


何故か驚いたような顔の前田慶次にごそごそと冷蔵庫を漁りながら返す。


「あ、でも皆さんの世界の数え方だと22歳だから、前田様と同い年ですね」


そう考えるとなんか変な感じするなー。


「あれ、皆さんどうなさったんですか?」


目を見開いてる三人にきょとんとする。
もしかして若く見えた?そうだったら嬉しいなー。なんて。


「あきらちゃん、旦那さんとかは…」

「旦那?…あぁ」


わかった。三人の表情の意味が。


「旦那は居ません。今まで居たこともありません。
一応言っておきますが今の時代結婚と言えば20代後半から30代前半までだから行き遅れたとかじゃないですよ?」


多分、実年齢通り見えたのだと思う。
でも旦那が居るようか気配はない。もしかして行き遅れ?いやいやそれは失礼か…実は見た目より若かったりするんじゃないか。きっとそうだ。

そんな感じに思っていたのかも知れない。

子供が産める体になったら嫁げるなんて世界と一緒にしないでほしい。


「なんだ。びっくりしたよー。悪いこと聞いたのかと思っちゃった」

「まぁ、しょうがないですね」


キッチンから持ってきたお盆をテーブルの上に置く。


「これが日本酒…多分皆さんに一番馴染みのあるお酒ですね。こっちが焼酎。こっちがブランデーっていう南蛮のお酒でこれがビール…麦酒です」


一通り説明をして自分用に持ってきたグラスに日本酒をちょっとだけ注いで飲む。
うへ、やっぱり好きじゃない。


「これ貰っていい?」


前田慶次が手を出したのはビール。
缶の開け方を教えてあげれば直ぐに一口飲んで気に入ったのか美味しそうに飲んでいる。

猿飛佐助と片倉小十郎はやはりというかなんというか私が開けた日本酒を飲んでいる。


というか。


「(今までじっくり見てなかったけどみんな和服だ)」


流石似合っている。何気に格好いいな三人共。

しかも猿飛佐助と片倉小十郎は髪下ろしてるし


「(猿飛佐助はともかく片倉小十郎やばい)」


ただでさえ好みなのに前髪下ろすとさらに…うん。考えないようにしよう。

三本目の酎ハイを開けながら思考を頭の隅へ追いやる。


「あ、前田様、髪にゴミが」

「ん?ありがと。あ、あきらちゃん」

「何ですか?」

「それ」


それ?


「敬語と様っての止めようよ。同い年だろ?」

「ん。じゃぁ慶次で」

「なんなら慶ちゃんでもいいよ?」

「はは、じゃぁ気分によってはそう呼ぶかも」


さて、三本目も空になっちゃったりそろそろやめよう。


「もう飲まないのか?」

「1日三本って決めてるんで」


嘘だけど。

今日は疲れてるからか酔っちゃいそうだからだ。

慶次の胸元から顔を出しながら眠っている夢吉の頭がガクンと揺れた。


「って、もう一本空けちゃったんですか?」


いつの間にか一升瓶が空になってる。
それでもケロッとしてる辺りが憎い。…酔わせてみたいな。

さっきから喋らないと思ったら黙々と呑んでたのか。


「いやー、おいしくてつい」

「確かに美味いな、これ」


慶次も日本酒飲み始めてるし…このペースだとこの瓶もすぐ空きそうだ。

時間は23時。

私はともかく…三人共寝なくていいのか?


「私そろそろ寝ますがどうします?」


確か戦国時代は日の出と共に起きるはず。
そろそろ寝なきゃ起きれない。


「俺はもう少し呑んでる」

「俺様も」

「俺は寝ようかなー」

「では瓶とグラスは厨に置いて下さればいいのでよろしくお願いします」


立ち上がって伸びを一つ。



本当
長い1日だった


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