LOG | ナノ


円堂くんが嫌い。でも、円堂くんの話をしている秋は好き。それはくだらない嫉妬なんだけど、円堂くんはただの被害者なんだけど、私は彼が嫌いなのだ。秋が彼のことを好きなのは目に見えてわかる。サッカーをしている姿を見る秋の目は、きらきらしていてすごくきれいだし、桃の花みたいに薄く色づいた頬もかわいいし、応援する声だって、いつもより自然とすこし高くて。それを隣で見ている私は、まるで胸が締め付けられるような気分だ。恋は、女の子を三割増くらいにきれいに見せる。っていう。それが痛いくらいによくわかってしまう自分がすごく嫌。だって、私も秋に恋をしてるんだよ。だから、今日の円堂くん、すごかったね!なんて無邪気に笑いかけてこないで。曖昧な笑顔しか返せないから。なんだか私、どんどん嫌な女になっていくね。ごめんね、秋。



「どうしたの?気分でもわるい?」
「…ううん、大丈夫だよ」
「本当に?」
「ほんとに。心配しないで?」
「なにかあったらいってね、私、貴女の一番の友達になりたいの」



言った後で照れ笑い、はにかみ。一番の友達なんてすっとばして、秋は私の一番の想い人なんだよ。って伝えたら、どんな顔をする?



「私、男の子に生まれたかったなあ」
「え、どうして?」
「んー、なんとなく」



もしも私が男の子として秋に出会っていて、秋が私のこと、男の子として好きになってくれていたら、それはとてもうれしいことなんだろうなあ、とか、考えてしまうから。なんて言えない、よ。はぐらかしちゃう私をどうか許してね、でも本当のことを言ったら私と秋の仲はこなごなに壊れちゃうでしょう。修正だって安易にできない、デリケートな問題だってことはわかってるもの。



「私は、貴女が女の子として生まれてきてくれてよかったって思ってるよ」
「なんで?」
「貴女が男の子だったらきっと私、こんなに貴女のこと好きになれないもの」
「え」
「貴女のことが一番好きなの」
「そんなの…、私もだよ!」



円堂くん、あたってしまってごめんなさい。今なら気分良く謝れます。だって、秋の心を独り占めしているのは貴方だけじゃないって分かったから。






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -