こんなに気温が低いのに、桜の花は綺麗にさいてくれた。
「卒業、しちゃったね」 「…そうだな」 「…いままで、楽しかった。ありがとう。」
まるでさよならの言葉みたいだけど、私と不動は別々の高校に進学するし、すこしさよならなのかもしれない。 FFIで優勝したことによって、不動や佐久間にはたくさんの高校から推薦がきて、不動が決めたのは私よりもすこし、(具体的にいうとみっつくらい)レベルが高かったので、一緒の学校にいくことはあきらめた。高校にいってもサッカーを続けたいという不動は、とってもかっこよかった。だから、私は彼を応援してあげたい。そう思ってる。
俯く不動。もしかして泣いてるのか、と覗き込もうとすると、くっと腕を引かれて抱きすくめられた。 不動はそのまま私の肩に顔をうずめて、私の髪をやさしく梳いて。 なんだからしくない。
「…泣かないでよ、不動」 「うっせ、泣いてねえ」
そうして不動は私から顔をそらして、ずびーっと盛大に鼻をすすった。 なんだ、やっぱり泣いてるじゃない。からかおうと思って口を開くと、不動は勢いよく振り向いた。今日はなんだか行動がせわしない、な。 不動の目はすこしだけ赤い。白い肌もあいまってまるでウサギみたい。
「あの…よぉ」
不動がおずおず、もじもじとした様子で呟く。意識してないと聞き逃してしまいそうなほど、小さな声。どうしたの、いつもの不動らしくない、よ。
「…くそっ、めんどくせえ」
きっと私を見て、乱暴な動きで私の手をとり、指をからめた。 それはいわゆる…恋人、つなぎというやつで、数えるほどしか経験してない私は照れないようにと必死に目をそらしてしまう。
「いいか、一度しか言わねぇぞ」 「え?な、なにを」 「いいからこっち向いて聞け」
妙にかしこまったような雰囲気の中で、不動は私のことをじっと見つめて、 なんだかとっても恥ずかしいけど、目をそらせる空気じゃない。意を決してまっすぐ見つめてやると、不動はすこし赤くなった。
「けっ…結婚しよう」 「…へっ」 「返事は聞かねぇぞ」
どういうこと?と聞く前に、繋がれた手を引っ張られてもう一度抱きしめられた。耳を澄ますと不動の胸の音が聞こえてくる。ずいぶんと早い。
「すこしの間は仕方ねぇが一緒にいられない。…けど、その後は一生離さない」
どうしてこういうときだけ、そんなにかっこいいことを言うんだろう…。 とてつもなく恥ずかしいのと、なんだか悔しいので、返事の代わりに不動の体を強く抱きしめ返した。
* * * 書きかた忘れた… 卒業ネタとか…遅いよ…もう5月やで…
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