ぱらぱらと、細かいものがアスファルトをたたく音がする。 既に雨が降るということが予報されていたので、部活は中止だ。鬼道さんは用事があると早々に車で引き上げられてしまったし、源田は委員会で残ってる。 久々にひとりで帰ろうと靴箱からローファーを出して落とすと、雨の音が大きくなった。
もうほとんどの生徒が帰っているけど、ひとつだけまだ外履きが残っている。まだ帰ってないのかとため息をついて、俺はその場に座り込んだ。 微かに振動を感じて、制服のポケットに入れていた携帯を確認すると、まだ学校にいるそいつからのメール。
『傘忘れた!!!』
すこしだけ笑ってしまいそうなのをこらえて、「靴箱で待っててやる」とだけ返事をした。返事はこなくて、代わりにばたばたと忙しい足音が廊下を走ってきた。
「佐久間っ」 「よう馬鹿」 「…否定できないから悔しい」
しょげる彼女の頭を軽く撫でてやって、早く帰るぞと急かすと、嬉しそうに頬を染めて頷くのだ。 こんな時間まで何してたんだ?日誌書いてた。ひとりで?もう一人の子、休みだったの。 適当な会話をしながら、彼女が靴を履き替えたのを確認してからビニール傘を広げる。
「雨、結構強いね…」
ねずみ色の空を見上げて呟く彼女の肩をすこし引き寄せて、傘の中にいれる。 強張ったのが面白くて、可愛らしくて、なんだか嬉しくなった。
「なんでこんな日に傘忘れたんだよ」 「雨降るっていうのは知ってたんだけどね…」
そこから口を噤むので、どうかしたのかと顔を覗き込めば、ひどく嬉しそうに笑っている彼女がいたので驚く。
「あのね」 「ん」 「なんか、佐久間がいるからいいかなあってね、思っちゃって。」
そんな笑顔で見上げられて、俺はいったいどうすればいいのかと思った末、周りを注意深く確認した後に短くキスをした。
*** うわあああああ 書き方忘れましたごめんなさい
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