帰り道。風丸とつかず離れずの距離を保って、今日あったこととか、サッカー部のみんなのことだとかをぽつりぽつりと話しながら、ゆっくりと歩く。 今日の最高気温は38度だったけれど、日が沈みかければ涼しくなって過ごしやすい。だからできるだけ風丸と長くいるために、ゆっくりゆっくり足を運ぶ。 円堂がさ、と楽しそうに笑う彼。思わず笑い返す私。この時間がずっと続いたら、とか夢を見てしまう。
なんとなく話題が尽きてきたころ、お互いに沈黙が続いてくる。 そういえば、まだ河川敷を歩いている。いつもはもう少し早く道が見えるはずなのに。 …あ、もしかして。と気づく。 一緒に歩くときはいつも、ペースを私に合わせてくれてるんだ。いつも私の隣で、私と同じはやさで。きっと勘違いなんかじゃない。 思わず、ありがとう。と伝えたら、なんのことだ?なんてわざと呆けたふりをして、私の右手をさらっていく。控えめにきゅっと握られた手はいつだって優しくて、ついつい口元が緩んでしまう。
「なあ」 「なに、風丸?」
すこし頬を赤くした彼に、ぎゅうっと力強く抱かれる。表情を確認しようとすると、胸板に頭を押しつけられて、耳元で静かな息づかいが聞こえる。
「大好きだ」
私もだよ。彼の胸の中で息も絶え絶えに伝えて、微笑みあって。 そうして触れあうだけのキスを交わしてから、私たちは名残惜しげに、静かに帰り道を進んでいく。
* * * なんだかすっごく乙女みたい…はずかしい… きゃらめるこーん の礫ちゃんへ。 相互ありがとう!
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