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柔らかな光がこんなにもうっとうしいと思ったことが今までにあっただろうか。

窓から差し込む日光は暗闇に慣れた私の目をこれでもかというほどに刺激して、同時にもう起きなければいけないということを伝えてくれる。それはとてもありがたいのだけど、携帯のアラームが鳴る数分前に起こさなくてもいいじゃないかと毒づく。
もしもアラームの一時間、いや、三十分前に起こしてもらっていたら、二度寝という至福の時間が与えられたのに。
そんなこと考えていても仕方がないので、カーテンを勢いよく引いて、起き上がってお弁当を作る作業に入ろうと立ち上がる。瞬間、服の端を軽く引っ張られてため息。またか、と。



「もう朝なのか…?」
「そうなの、早く起きて…お弁当作るんだから、離してよ」
「むう…」



いつもながら冷たいことを…なんてむにゃむにゃと寝ぼけながら、隣で寝ていた正臣は目を半分開いてこちらを見る。寝起きの悪さからして私も彼も、きっと低血圧なんだ。
相も変わらず私の服を離そうとしない正臣を叱るように、明るい色の髪に包まれた頭を小突く。それでも正臣の瞼は鉛のように重く重く、ゆっくりと下がっていくのだからあきれてしまう。何度目かわからないため息を吐いてから無理やり服に引っかかっている指を剥ぎ取れば、正臣は小さく唸って布団をまたすこしだけ捲った。



「いつまでそうしてるの、早く起きてってば」
「そうやって怒るなよ…おきる、けどさ…」



また寝言のようにはっきりしない言葉をつむぎはじめたので、放って早く調理に取り掛かろうと足を踏み出すと、強い力が私を進めようとしない。こういうときだけどうして力を発揮するんだ、なんてまたため息。なんだかもう、毎朝ため息ばかりだ。




「正臣、いい加減に…」
「よく見ればまだ七時じゃないか」
「まだ、じゃなくて、もう、なの!」
「そう急ぐなよ…朝はたっぷりあるんだからさ」
「…うわ、ちょっと」



眠そうに笑って、私を引き寄せる正臣。ぴぴぴとアラームが鳴るけれど、彼のぬくもりに包まれたらあっという間に眠気が襲ってくる。そうして私たちはいつものように遅刻して、杏里ちゃんや帝人くんにあきれたような笑いをいただくことになっているのだけれど
そんなだらけたような朝が、とても幸せだと思ってしまう私は、きっとどうにかしているんだ。





吹っ切れた正臣を元に書かせていただきました
そろそろアニメでも吹っ切れるそうですね 



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