ディなのにおいしそう
1.2.3.4.5.6.7



※時間軸は25話後の設定です。
※二人はできてません(ほぼ毎度のことですね・・)
※ストーリーは変わりませんが修正を加え、ページの割り振りも変えました。今後はこのようなことがないよう、全編書き上げてからの掲載方式を取りたいと思います。申し訳ございません。(20120608)


「タイガー&バーナビーに出動要請よ。ターゲットは”園長”と呼ばれている男。本名はわからないわ」
「はぁ?なんだ、それ……」

 虎徹がヒーローとして復帰し、虎徹の後を追うようにバーナビーもヒーローに復帰してからひと月の時が流れた。二人は以前と同じようにアポロンメディア所属のヒーローとして働いている。……ただし、2部リーグ所属のヒーローとして。
 2部リーグには1部リーグと違い、強盗だとか凶悪犯の確保だとか重要な事件に対する出動要請はやってこない。TVで放送しても視聴率が取れないような小さな事件、それからボランティアや迷い犬の捜索まで何でもやらされる。1部リーグで活躍していた頃とは違い、まったく華のない地味な仕事ばかりだ。そんな中、今日はアニエスから仕事のオファーが入ったのだが、犯人の名前もわからないらしい。

「本当なら、こんなこと警察に任せておけばいいんだけど。逃げた男がNEXTらしいのよ」
「なるほど、それで、ターゲットはどんなNEXTなんですか?」
「それが……」

 いつもハキハキとしているアニエスが珍しく口ごもり、盛大な溜息と共に口を開いた。
「ターゲットの男はア●バでメイドカフェを経営していたオーナーで、彼は他人に動物の耳だとか尻尾を生やすことができるNEXTらしいわ……」
「なんだそりゃ?」
「……それは、猫だとか犬の、耳や尻尾が生えるんですか?」
「そうよ」
「んなの、なんの危険もねぇんじゃねぇの?なんで俺らが」
「……それが、すっごく言いづらいんだけど」

 アニエスの話を簡単にまとめると、ターゲットの”園長”と呼ばれる男は耳や尻尾を生やせる能力を活用し、ア●バで”ケモ耳メイドカフェ”を経営していたらしい。しかし彼の能力は耳や尻尾を生やすだけではなく、その動物の持つ習性や能力も微妙にコピーしてしまう。例えば嗅覚が鋭くなったり、聴力が発達したり、足が早くなったり。そして今、季節は春。発情期を迎える動物が多いこの季節、彼の店では従業員の女の子たちが騒ぎを起こし、近隣の店からの通報で警察が駆け付けたがオーナーが逃げ出してしまった、ということだ。

「くっだらねぇ〜〜」

 虎徹が頭を抱え唸る隣で、バーナビーは顎に手を当て小さく首を傾けた。

「その……、従業員の女の子たちは無事なんですか?」
「女の子たちはみな、病院に収容されたわ。能力自体は数時間経過すれば解けるそうだから問題はないの。でも逃げた男を捕まえないと、ヤケでも起こして被害が広がれば街中がパニックよ」
「なるほど。それで、能力の発動条件は?」
「触れるだけ」
「つまり、ターゲットに触れずに身柄を拘束すればいいんですね?」

 こんな得体のしれない事件にも関わらず、バーナビーはまず被害者である従業員のことを心配し、依頼を達成するために必要な事項を自ら聞きだしてくれる。タイガーとは大違いだ。

「そう、その通りよ。あぁん、もう、バーナビーだけでも1部リーグに復帰しない?2部なんて勿体ないわよ!」

 アニエスとの通信が途絶え、バーナビーは虎徹に視線を向けた。

「行きましょう、虎徹さん」
「ん……、あぁ」

 バーナビーはどんなに小さな事件でも手を抜かないし嫌な顔も見せない。ヒーローから離れていたこの一年、バーナビーがどう過ごしていたのか何も聞いていないが、きっといい時間の過ごし方をしたのだろう。今日の事件が片付いたら、久しぶりに飲みに誘って話をするのもいいかもしれない。

「しょうがねぇ、行くか。バーナビー」
「はい」




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