ンサムな彼女
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SIDE・T


こんな夢中になるつもりはなかった。乱暴に抱いて、もうやめてくれと言わせるつもりだったのに、気が付けば調子を狂わされ行為自体を楽しんでいる。
女性の身体に触れるのは随分とご無沙汰だった。嫌われるために抱こうというのは言い訳で、本当は性欲を満たしたいだけなのかもしれない。酷くしてやろう、というのもただの八つ当たりなのかもしれない。――俺なんかを好きになるから悪い。
そうだ、優しくなんて抱いてやらない。嫌われるように振る舞おう。俺のことなんか嫌いになればいい。お前もバニーもなんで俺なんかを好きになるんだ。
うさぎちゃんが苦しがっているのはわかっていたが、構わず根元まで埋め込んだ。締め付けがきつくて、虎徹自身も辛い。それでも抜こうとは思わなかった、上から串刺しにしたまま口元を抑えている彼女の手首を握る。
「んンッ、や……」
細い手首を捕まえるとうさぎちゃんはイヤイヤと首を振った。
「なんだよ、やめんの?まだ入れたばっかなんだけど」
意地悪く問えば彼女の瞳に薄い涙の膜が張った。バーナビーと同じ、綺麗な翡翠色の瞳が潤むのを見ると虎徹の嗜虐心が刺激される。
「やめないで……」
うさぎちゃんは蚊の鳴くような声でそう口にした。彼女の手をシーツの上に押し付けて、ベッドに張り付けるようにして抱く。
初々しい反応から初めてかと思って一瞬躊躇ったが、スキンのくだりからそんなはずはないと確信した。ピルでも飲んでいるんだろう、俺以外の客の男ともこういうことをしているんだろうか。とてもそうは見えなかったけれど、女の子というのはどうにもわからない。
彼女の中は相変わらず狭くて、でも十分に潤っているせいで動くことには支障が無い。ぐっと押し込むと悲鳴のような声が上がって最初のうちは驚いたが、いつの間にか聴こえなくなっていた。不思議に思い顔を覗いてみると、彼女は唇を噛み締めて声を殺している。虎徹は手首を掴んでいた手を離し、彼女の唇に触れた。
「唇、噛むなよ。血が出てるじゃねぇか」
「……だって、へんな声が出ちゃう……」
 虎徹は意地悪く笑って彼女の口の中に親指を突っ込んだ。そのまま顎を掴みゆさゆさと腰を揺する。
「噛むなよ?」
「ひゃ、ン、あっ、ア……」
 押し込む時は呻くような声が、引き抜くときは上擦った少し高めの声が漏れる。それに気付いて虎徹はゆっくりと彼女の中を探りながら引き抜いた。おなか側の壁を擦るとぴくぴくと脚が震える。
「ここ、気持ちい?」
 問いかけるとうさぎちゃんはコクコクと頷いた。わざわざ聞かなくても彼女が感じているのはわかっていた。中から溢れ出す蜜が止まらなくて、ローションも使っていないのに接合部からはグチャグチャと音が響いている。愛液の滑りを借りて虎徹の動きも徐々に早くなっていく。
「ああア……、やだやだ、だめ……っ」
 うさぎちゃんの声がどんどん大きくなる。絡みつく内壁も激しい収縮を繰り返していて、彼女の絶頂が近いのは火を見るより明らかだった。口の中から指を引き抜いて両手で脚を掴み、まるで獣みたいに腰を打ち付ける。口元から手を離すと、彼女はまた自分の手で口を塞いでしまった。虎徹は小さく舌打ちして彼女の手首を握る。
「声、殺すなっつったろ」
「ひ、あああ……、だって、声、止まんない……」
「おい、唇、噛むなよ」
 また唇を噛み締めようとするうさぎちゃんの唇を、自分の唇で塞いだ。唇を押し付け、半開きの彼女の口の中に舌を押し込む。無理な体勢で彼女の中から陰茎が抜けかけ、ぐいっと押し込めると彼女の身体がびくびくと震え出した。
「ふ、うっ、ンッ、ん……」
 舌を絡ませているせいで、うさぎちゃんの喉からはくぐもった声しか出てこない。虎徹が唇を離すと、彼女は全身をぶるぶる震わせながら悲鳴に近い嬌声を上げた。
「あ、あっ……、だめ、そこ。なんか出ちゃう……!」
嫌がっても止めるわけがない。虎徹は重点的に彼女が嫌がる場所を責めた。虎徹から逃れようと蹴ろうとしてくる脚は胴の体重を掛けて抑え込む。
「や、ぁ、だめ、あっ、ア、――ッ!」
彼女の身体が大きくしなり、蠢いていた彼女の中も虎徹の陰茎を食い千切るんじゃないかというくらいきつく締まった。そのきつさに思わず精液が溢れ出す。スキンを付けていないことを思い出し、さすがにまずいとは思っても射精は止められない。
「ッ・・・・・・、くそ……、バニー……」
……俺は今、なんて言った?
身体を繋げ、組み敷いたままのうさぎちゃんを見下ろした。じっとこちらを見つめる彼女と視線が絡まり、虎徹は狼狽して視線を外す。しかし、視線を外した先にあるはずのないものが目に入り、虎徹は彼女の腕を掴んだ。
「おい、……なんでうさぎちゃんがこれを付けてるんだ?」
虎徹が見つけたもの、それはバーナビーのPDAだ。
「バニー?……おまえ、バーナビーなのか?」
 信じられないモノを見るような目で虎徹は組み敷いている相手を見つめた。



 
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