月22日
1.2.3.4



「……尻尾、感じるんですか?」

わざと耳元に吐息が掛かるように背後から囁いてみる。虎徹さんの背筋がぞくぞくと震えたのが僕にもわかった。

「も、だめだって、バニー……、俺、おかしいんだ、離して……」

パジャマ越しに触れる虎徹さんの身体はとても熱い。もしかして本当に熱でもあるんじゃないだろうか。
嫌がる虎徹さんの顎を掴みこちらを向かせる。顔を覗き込むと熱のせいか瞳は潤んでいて、頬は赤い。呼吸もやはり苦しそうで……。

「やっぱり熱があるんじゃないですか?」
「熱はねーよ、これは、その……」

どう見ても具合が悪そうなのに、虎徹さんは熱はないという。
それにしてもやけにはっきりと否定をするので、こんな状態になっている心当たりがあるに違いない。

「その男に何か言われたんですね?なんて言われたんです?」

虎徹さんの肩がぴくりと跳ねる。

「お願いです、虎徹さん。話してください。……僕を信じて」
「…………って」

虎徹さんは何かを言ったが、その声はとても小さい。まるで斉藤さんのような声のボリュームだ。

「すみません、聞こえません」
「だーかーらっ!め、メスネコになっちゃえって……」
「……メスネコ?」
「は、発情した、メスネコになっちまえって言ったんだよ、そいつが!」

発情したメスネコ?
僕は改めて虎徹さんに視線を向けた。
念のためパジャマの前をめくってみて平らな胸を確認し、ズボン越しにだが股間にも触れてみる。

「だっ!なにすんだ!」
「……メスには、なってないようですが」
「そこかよ……!」

虎徹さんはメスにはなっていない。
しかし虎徹さんの瞳が潤んでいたり、顔が赤いのや呼吸が荒かったりするのは熱のせいではなく。

「発情、しているんですか?」

僕は言葉に出して確認せずにはいられなかった。
赤く染まっている虎徹さんの顔が耳まで赤く染まる。

「…………だから、お前に会うのはイヤだったんだ……」

ぽそりとつぶやく虎徹さんを僕は力いっぱい抱きしめた。

「どうしてですか、こんな姿、僕以外の誰にも見せないでください」

虎徹さんを抱きしめる腕に力を込める。

「……苦しいよ、バニー」

腕の中の虎徹さんは壮絶なフェロモンを放っていて、僕の理性は天元突破直前だ。
それでも僕は必死に自分を抑えた。

「解決方法は一緒に見つけましょう。そのネクストを捕まえないと」
「うん……」
「犯人の特徴は覚えていますか?」

僕は虎徹さんを抱き締めたまま、犯人について聞きだした。
絶対に捕まえて、死んだ方がマシだというくらいの目に合わせてやる。
でも、その前に……。

「な、どこ触ってんだ」
「……すみません、あんまりあなたがビクビク震えるからかわいくて」

安心させるように虎徹の背を撫でていたバーナビーの手つきは、いつの間にか目的を違えていた。指先で背骨を辿り、尻尾の付け根へと向かっていく。
尻尾に指先が触れると虎徹の身体が大げさに跳ねた。

「あ、やだ……」

虎徹の指がバーナビーの背のライダースをぎゅっと握る。しかしイヤだと言いながら虎徹は逃げない。

「犯人は必ず捕まえて、あなたのことを元に戻してみせます」
「ンッ……!」

すぐそばにある、黒いほうの耳を唇で挟んでピンク色の皮膚に舌を這わせた。虎徹は首を竦め、頭をぷるぷると振る。

「や、耳はだめ……」
「そうなんですか?」
「ん、ぞわぞわする……」

……それは感じているんじゃないだろうか。
それでも虎徹が嫌がるので、耳からは唇を離し尻尾の方に専念する。
指先で持ち上げ、背中の方へ向けて押すとそれまでと違う過剰な反応があった。

「ひゃンッ……!」

尻尾はピンと先端まで伸びて棒状になり、虎徹の背は海老反りにしなる。さらに押し続けると、虎徹は抱き着いていたバーナビーから滑り落ち、ベッドの上へと崩れた。

「ぅあっ、アッ……」

ベッドに両腕を付き頭を低くして尻だけを高く上げ、虎徹は声を上げ続ける。バーナビーが尻尾を押す力を弱めると虎徹の声は止まり、再び力を込めるとまた声が上がる。

「尻尾、押されるとイイんですか?」

既に確信していたが、バーナビーは敢えて尋ねた。

「ふ、あ……、イきそ……」

尻尾にしか触れていないのに、そんなに?
驚きつつも虎徹の前に下着越しに触れてみると、虎徹自身は下着の中で膨張し先走りで下着を濡らしている。
バーナビーは虎徹の下着を下げ、片足だけ引き抜いた。
尻尾を下から上に撫で上げて宥めつつ、四つん這いの虎徹の脚を開かせる。
尻尾を持ち上げたその下の蕾はひくひくとうごめいていて、バーナビーは迷わずそこへ舌を伸ばした。

「ひぁン、や……、バニー……」

普段虎徹は、バーナビーがここを愛撫することを極端に嫌がる。
何故かと尋ねると”綺麗なバニーちゃんにこんな汚いとこ触らせたくない”んだそうだ。
それでも僕は触れたいし、舐めたい。
虎徹さんはちっとも汚くなんかないのに。
舌先で突くと、虎徹さんの身体が前へと逃げた。すかさず尻尾を背に向けて押してやる。
虎徹さんはそれだけでビクビクと内腿を震わせて抵抗を諦めてしまった。
尻尾を撫でながら、きゅっと締まったそこを丹念に舌先で舐めて解していく。
虎徹さんのお尻の間に顔を突っ込み、僕は匂いを嗅いでみたけれど、ボディソープの香りしかしなかった。そのことに少しがっかりする。
虎徹さんは綺麗好きだ。どこが汚いというんだろうか。



 
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