It's a Wonderful Life
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24


虎徹は驚いて、まじまじとバーナビーの顔を見つめた。

「仕向けたって……、じゃあ、さっきのもわざと……」

俺に見えるように足を開いてたってことか。
でもどうして。
バーナビーは、虎徹の視線に堪えられずに、虎徹の首に抱き着いて顔を隠した。

「……どこまで鈍いんですか、あなたは」

そんなことを言われても、虎徹にはさっぱり意味がわからない。
いや、わかるような気もするが、けど、そんな都合のいいことがそうそうあるわけがないと、考える前に頭の中で打ち消した。
俺とバーナビーは一回り以上も年が離れているし、バーナビーからみたら俺なんて”おじさん”だ。
期待なんて、しちゃいけない。
期待しなければ、傷つくこともない。

「もしかして、さ、バニーちゃん……、誘ってんの?」

俺に抱きついていたバーナビーの肩がぴくりと震えた。

「……そう、ですよ。誘ってるんです……」

肩が震えただけじゃなく、バーナビーの体は力が入ってカチコチだった。
虎徹は場の空気を和ませようと、笑い声を含ませながらバーナビーの頭を撫でた。

「誘い方、下手くそだなぁ」
「っ、仕方ないでしょう。男なんて、誘ったことないんですから……」

俺にくっついたままのバーナビーに視線を向けると、耳まで赤い。
バーナビーのことは可愛いと思う。
セックスできるかって聞かれたら、答えは迷わずYESだ。
だけど、それは駄目だろう。
今日のバーナビーは普通じゃない。そこにつけ込むなんて俺にはできない。
……なんて、臆病な俺の、ただのいいわけかもしんねぇけど。
俺には、一歩を踏み出す勇気がない。

「どうして。……女の体になったから、そういうこと試してみたい、とか?」
「……そうですよ、ただの、好奇心です。虎徹さんだって、女性は嫌いじゃないでしょう?」

素直じゃねぇな、と口にしようとして、やめた。
素直じゃないのはお互い様だ。
好奇心なんかで、そんなに顔が赤くなるわけがない。
バーナビーは俺に好意を持ってくれてる。
だけどそれってさ、バニーちゃん。
一年ぶりに会って気持ちが高揚して、それでこんな体になるなんていう非日常が重なって。
お前のそれは、気の迷いだよ、一時的なものだ。
俺に対するバーナビーの好意は、たぶん家族に向けるような類の愛情で……恋愛感情なんかじゃないんだよ、バーナビー。
お前は恋愛経験なんて豊富じゃないだろうから、親愛も恋も区別がつかなくて勘違いしているだけなんだ。
だから、おじさんが正しい道に戻してやらねぇと、な。

「そうだな、嫌いじゃねぇよ。けど」
「だったら!試してみませんか。僕は明日には元の身体に戻ります。今夜のことは忘れますから」

バーナビーからの魅惑的な誘いにぐらりと来る。

「……楓がいる」
「疲れてぐっすり眠ってます。そう簡単に起きませんよ」

本当に、勘弁してくれよ、バーナビー。
俺だってさぁ、おじさんだけど、男なんだよ。
それでも、精一杯の自制心をかき集めて、俺はなんとかバーナビーの誘いを断ろうとした。

「けど……ンゥッ……!」

ごちゃごちゃをいいわけをしようとしていた虎徹の口を、バーナビーの唇が塞ぐ。
虎徹の首と頭に腕を回して唇を吸い、酸素を求めて口を開いた虎徹の口内へ舌を押し込む。
舌を絡めて吸うと、虎徹の口から唾液が溢れバーナビーの口内へと流れ込んだ。
ゴクリと、バーナビーの白くて細い喉が鳴る。
唇が離れ、唾液に濡れた己の口の周りを舌を覗かせて拭うと、バーナビーは自らブラウスのボタンをひとつ外した。

「……脱いだほうがいいですか?それとも、脱がせたい、ですか?」

大胆に誘っておきながら、バーナビーの声はとても小さくて、そして視線は虎徹から外されたままだった。
虎徹が何も言い返せないでいると、バーナビーの指先がまたひとつボタンを外していく。
2つ、3つ、4つとボタンが外されて、ブラウスの間からレースをあしらった下着に包まれた二つの白くて柔らかそうな膨らみが覗いた。

「……バニーちゃん、よせ。もう、やめよう」

虎徹がバーナビーから視線を反らし立ち上がろうとすると、バーナビーは泣きそうに顔を歪ませて、虎徹の腕にすがった。
腕に、下着越しにだが柔らかな膨らみが触れる。



 
[戻る]




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -