It's a Wonderful Life
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俺が楓を抱き上げた、ついさっき前まではこんなふうじゃなかったはずだ。
見ては悪い気がして思わず視線を外してしまったが、虎徹はもう一度バーナビーへと視線を戻した。
さっきまでは、きちんと足を閉じていたはずだ。
だけど今は……。
バーナビーは大胆に足を開いていた。
短いスカートが捲り上がり、タイツを穿いているとはいえスカートの中身が丸見えだ。
ゴクリと喉が鳴り、唾を飲み込む喉の音がバーナビーに聴かれてはいないかと内心焦った。
これは、バーナビーだ。
どんなに可愛い女の子に見えても、バーナビーはバーナビーだ。
妙な気を起こすなよ、鏑木虎徹。
虎徹は必死で自分自身に言い聞かせ、なんとか平常心を取り戻そうとした。
とはいえ、バーナビーをこのままにしておくわけにもいかない。
こんなところで寝ていては風邪を引いてしまうかもしれないし、何より、今のバーナビーの姿は目に毒だ。
虎徹はバーナビーを起こすことに決め、ゆっくりとバーナビーに近付いた。
なんとか自制心を保ちながら、そっと捲り上がっているスカートに手を伸ばして布を下ろすと、虎徹はバーナビーの肩を掴んで揺さぶった。

「おい、バーナビー、起きろ」

楓が起きない程度にボリュームを絞り声を掛けると、眉間に深く縦皴を刻みながらバーナビーが瞼を開いた。
たまらなく不機嫌そうなその表情に虎徹は苦笑を洩らす。

「なんだ、そう怒るなよ」

バーナビーは何も言わず虎徹に向かって腕を伸ばし、首に腕を回して虎徹を抱き寄せた。
突然のことに対応できす、虎徹はされるままバーナビーに抱き寄せられる。

「……どうした、いきなり。甘えてんのか?」

平静を装ってはいたが、本当は心臓がバクバクうるさいくらいドキドキしていた。
バーナビーはかなり強い力で抱き締めてきて、虎徹の胸板に柔らかなバーナビーの乳房の感触が当たるのだ。
女性にはここ何年も縁がなく、女性特有のぐにゃりと柔らかな体に触れるのは本当に久しぶりのことだった。
気を抜くと理性が吹っ飛びそうになる。
虎徹は自制心を総動員させながらバーナビーの髪を撫でた。
バーナビーはしばらくの間、優しく髪を撫でる虎徹の手の感触を味わっていたが、ゆっくりと口を開いた。

「……虎徹さん」
「ん、なんだ?」

バーナビーが話しかけてくれて、虎徹は心底ほっとした。
虎徹の自制心は今にも決壊しそうだった。
早いとこ現状を打破しバーナビーに離れてもらわないと、脳の指令に反して下半身が勝手に反応してしまいそうだ。
しかし、バーナビーは信じられない行動に出た。
そっと虎徹の手を取ると、バーナビーは自分の乳房の上に押し当てたのだ。

「バッ……、バニー?」

突然のバーナビーの行動に虎徹は狼狽した。
うまく隠していたつもりだったが、まさかバーナビーのことをそういう目で見ていたのがバレていたんだろうか。
虎徹が手を引っ込めようとすると、バーナビーはさらに強く虎徹の腕を引き、虎徹はバランスを崩してバーナビーの上へと倒れ込んだ。

「うっ、わ、ゴメン……、すぐどくから」

虎徹が起き上がろうとすると、そうはさせまいとバーナビーが虎徹の胴体へと足まで絡ませてくる。
ソファーの上でバーナビーと密着する形になり、虎徹はついに観念した。
理性とは関係なく、虎徹の下半身は反応してしまった。

「ごめん、バニーちゃん……。その、勃った」
「……知ってます。謝らなくて、いいです。そう仕向けたのは、僕の方ですから」



 
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