Catch me if you can.
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「……君、足腰は細いくせになかなか重いね。スポーツか何かやってるの」
「ふ……、んン……」

男に引きずられるようにして、虎徹はベッドへと移動させられた。うつ伏せに上半身をベッドに押し付けられ、下半身はベッドの下だ。
男の問いかけに虎徹は首を縦に振った。スポーツをやっているわけでもないが、まぁ似たようなものだ。まともに声を出して返事をすることなどできなかった、口を開くと喘ぎのような音しか漏れない。
男は虎徹の腰を抱き、下腹部を浮かせるようにして虎徹自身に触れた。カウパーか精液かわからないがぬるりと手が湿る感触に男は顔を歪める。

「……っ、さわって…」

ようやく触れてもらえると、虎徹は安堵にも似た思いを抱いたがその期待は裏切られた。男は虎徹自身をティッシュで拭うと、上からコンドームを装着したのだ。それは勃起した虎徹自身にはサイズが小さく、収まりはしたが食い込んで痛い。

「汚されたら困るからね」

虎徹が涙を滲ませた瞳を向けると、男はまた口端を片方だけ上げる笑い方で笑った。
意地の悪そうな男のそんな笑みにすら虎徹は欲情を覚える。
ヒドいことをされるのは大嫌いだけれど大好きだ。特にこんな一夜限りの相手との時は尚更、優しくなんかされるより手酷くされたくなる。
男はネクタイは緩めたがシャツは着たままだった。ズボンも勿論穿いたままで、汚れるのが嫌ならば脱げばいいのに脱ぐつもりはないらしい。
男は虎徹の背後に立つと引き締まった小さな尻を下から上へと撫で上げた。それだけで虎徹の腰はふるりと奮え、割れ目の間のすぼまりがキュッと締まる。
男の指先がそこに触れて、虎徹は力の入らない脚を懸命に踏ん張り腰を浮かせた。前にも触れてもらいたかったがそちらだって構わない。男が触れやすいよう足を開いて尻を突き出す。

「あぁ、も……、頼むから……」

何とかしてほしい。この行き場のない熱を発散させたい。

「……随分と、みっともない姿だね。クスリのせい?それとも、そんなに掘られるのが好きなのかな」

切羽詰まっている虎徹と違い男は余裕たっぷりだ。クスクスと笑いながらベッドの上に置かれていたビジネスバッグへ手を伸ばし中を探る。虎徹はそれを黙って見ていた。
何の断りも無くクスリを飲ませ(これは虎徹も同罪なので相手を責めることはできないが)腕を拘束してくるような相手だ。バッグの中から何が出てくるのかは気になる。しかし今の虎徹には成す術がないし、どうにでもしてくれ、といった気分で瞼を閉じた。

「うっ……」

ジェルか何か、潤滑剤となるものを塗られる感触に虎徹は呻き声を漏らした。声が漏れたのは冷たさからで、不快ではない証拠に腰が揺らめく。
男の指が中へと押し込まれると、虎徹の腰は引くどころか男の手の方へ押し付けるように動く。中が傷付かないよう濡らすだけの行為であるのに、虎徹はその行為からも快感を拾おうとした。



  
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