It's a Wonderful Life
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24


※にょたコテバニですが冒頭はバニーちゃん男です
※二人はできてない設定
※年齢とか、公式の設定があやふやなので間違っていたらこっそり教えてください





昨夜、クリスマスイヴの夜。
一足先にヒーローに復帰していた虎徹に続いてバーナビーがヒーローに復帰した。
本来ならその翌日の今日なんて、取材陣に囲まれてオフをもぎ取ることなんてできなかったろう。
しかし、今日は虎徹には大事な予定がありオフは事前申請して取得済みだったし、バーナビーは今日オフを取れないのなら復帰すること自体を取り消す、などと強気の態度で応対したため、無事二人揃ってオフを取得した、というわけだ。
明日26日は朝から晩まで取材対応、という条件付きで。
虎徹が一人で復帰した時には大した騒ぎにはならなかったのに、さすが元キングオブヒーローの復帰となるとわけが違う。

「……けど、おまえ、よかったの?」
「何がです?」

二人は並んで虎徹のアパートの前に立っていた。

「何がって、今日クリスマスじゃねーか。一緒に過ごす相手とかいないのかよ」
「いますよ」

当然のように”いない”という返事を予想していた虎徹は、予想もしなかったバーナビーの返事に目を見開いた。
バーナビーに限ってそれはない、そう心のどこかで思っていた。
内心の動揺を隠しながら、虎徹はにやあっと下世話な笑顔を浮かべた。

「なんだよ〜、バニーちゃん。いい人、できたわけ?」
「バニーじゃありません、バーナビーです」

一年前、二人でコンビを組んでいた頃、バーナビーに恋人の気配なんてなかった。
ということは、離れていたこの一年程の間に晴れて、恋人ができたということなんだろう。
あのバーナビーに恋人だなんて。
複雑な心境だが、でも、よかった。
バーナビーには幸せになってもらいたい。

「紹介しろよ、バニー」

バーナビーが指摘したにも関わらず、虎徹はバーナビーが嫌がる名前のままで呼んだ。
ニヤニヤと反省の色など微塵も見せない虎徹に涼しげな視線を送りながら、バーナビーは口を開いた。

「楓ちゃん」
「……へ?」

楓は虎徹の大事な大事な、目の中に入れても痛くない大切な一人娘だ。

「な、楓って、おまえ……」
「いい娘ですよね、楓ちゃん。誰かさんと違ってしっかり者だし」

ニヤついていた虎徹の表情が一気に青ざめていく。
まさか、バーナビーの意中の相手が楓だなんて。
楓はまだ11歳だ、一年前の事件の後だいぶ大人びて、成長期ということもありこの一年で身長も伸びたけれど、まだまだ子供だ。
それに対してバーナビーは27歳、16歳もの年の差がある。
二人がどうこうなるなんて有り得ないことだとは思うが、楓はバーナビーの熱烈なファンだ。
数年後はどうなるかわからない。
虎徹の心を読んだようにバーナビーが言う。

「数年後が楽しみだなぁ」
「かっ、楓はやらないからなっ!」

そう返しながらも虎徹は内心ほっとしていた。
バーナビーが今も一人でいるということに。
バーナビーの穏やかな笑顔に、少し胸が痛んだ。

「あ、あのタクシーじゃないですか」

遠くから、こちらに向かって来るタクシーの姿が見える。
バーナビーの言葉に虎徹も向かって来るタクシーへと視線を向けた。
バーナビーが目星を付けたタクシーは徐々に減速し、虎徹たちの目の前で停車した。

「かえでぇ〜」

後部席から降り立ったのは、虎徹の愛娘の楓だった。
抱き着こうとした虎徹をさらりと交わし、楓はキラキラした瞳をバーナビーへと向ける。

「バーナビーさん、お久しぶりですっ!」

ぴょこん、とバーナビーに向かって頭を下げた。




[戻る]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -