Ju te veux
虎兎/1.2.3.4


「意外と柔らかいんだなァ、三本いけっかな」

言葉と同時に三本の指をまとめて押し付けられる。
入口で多少の抵抗はあったものの、バーナビーの身体は虎徹の指を難無く受け入れた。
指を抜き差しされるのは気持ちがいい。
けれど入口付近の浅い箇所を刺激されるだけでは、もう物足りなかった。
より強い刺激を求めてバーナビーの腰は揺れていた。

「アッ…、もっと……」
「……もっと、なに?バニーちゃん」

わかっているくせに、と涙を滲ませた瞳を向けると、ニヤニヤ笑う虎徹の顔が見えた。
余裕ぶっている虎徹が憎くて、自分ばかりが欲しがっているのが悔しくて、瞳の端から涙がこぼれ落ちる。
虎徹に涙を見せたくなくて、バーナビーは目元を腕で覆った。
それでも、指で内壁を突かれる度に喉奥から声が漏れる。

「ひ、あっ、ン……、も、やだ……」

バーナビーの弱い箇所がわかったらしい虎徹は、そこばかり狙って突いてくる。
男を抱くのなんて初めてなくせに、虎徹がテクニシャンだなんて予想外だった。
突き上げられる度、バーナビーの先端からは雫が溢れ出て身体が震える。
でも、イけない。
快感の波が訪れて頂点を迎える直前で、虎徹は指の動きを止めてしまうのだ。勿論、わざとに違いない。

「んー?気持ち良さそうじゃねぇか、なんでヤなの?」
「やっ、ア……、ひどい……」

バーナビーはもう涙を隠さなかった。ぼろぼろと涙を零しながら、虎徹に向かって震える両腕を伸ばす。

「……来て、ください」

バーナビーの顔は涙に濡れ、綺麗な翡翠色の瞳は快感にすっかり蕩けていた。
少々虐め過ぎたかと苦笑を漏らし、虎徹は返事の代わりにバーナビーの瞼にキスを落とした。
指を引き抜き、より大きく脚を広げる。
先程まで虎徹の指が入っていた場所に、バーナビーが待ち望んでいたものの先端が触れた。
それだけで声が漏れ、バーナビーの身体が震える。

「あッ……」
「……バニー、お前、期待しすぎ」

その後に続いた虎徹の言葉はバーナビーにはよく聴こえなかった。
ズブズブと一気に奥まで貫かれ、背が大きくしなったかと思うと悲鳴のような嬌声を上げながら、バーナビーは先端から精液を飛ばした。





ぺちぺちと虎徹に軽く頬を叩かれて、バーナビーはようやく視点の焦点が定まった。
すぐ間近に虎徹の心配そうな顔が見える。

「大丈夫か、バニー」
「……あ、はい」

ずっと声を上げていたせいか口の中がからからで、それでも何とか返事をした。

「あー、びっくりした。……急にぐったりしちまうんだもん、お前」

どうやら気持ち良すぎて意識が飛んだらしい、羞恥で顔が耳まで熱くなる。

「……そんなに良かった?」

僕の顔が赤いことに気付いたおじさんは心配顔から一転、ニヤニヤしながら絡んできて、僕はキッと目に力を込めておじさんを睨みつけた。

「……それ以上、僕のことをからかうなら、窓から逃げます」

バーナビーが能力を発動しかけると、虎徹は慌てて止めに入った。この部屋は賃貸物件だ、窓を割られたらたまらない。

「わーっ、悪かったって!ごめんっ!だって、バニーがかわいいからつい……」
「……かわいい?」

バーナビーに復唱されて、地雷を踏んでしまったかと虎徹はまた少しびくついた。

「……あれ、かわいいも駄目だった?」
「…………いえ、おじさんに言われるのは、嫌じゃありません」

虎徹と視線を合わせず、小さな声で返したバーナビーの頬はまだ少し赤く染まっていて、虎徹は目尻を下げてバーナビーの頭をくしゃくしゃと撫でた。





Fin.




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