Ju te veux
「意外と柔らかいんだなァ、三本いけっかな」
言葉と同時に三本の指をまとめて押し付けられる。
入口で多少の抵抗はあったものの、バーナビーの身体は虎徹の指を難無く受け入れた。
指を抜き差しされるのは気持ちがいい。
けれど入口付近の浅い箇所を刺激されるだけでは、もう物足りなかった。
より強い刺激を求めてバーナビーの腰は揺れていた。
「アッ…、もっと……」
「……もっと、なに?バニーちゃん」
わかっているくせに、と涙を滲ませた瞳を向けると、ニヤニヤ笑う虎徹の顔が見えた。
余裕ぶっている虎徹が憎くて、自分ばかりが欲しがっているのが悔しくて、瞳の端から涙がこぼれ落ちる。
虎徹に涙を見せたくなくて、バーナビーは目元を腕で覆った。
それでも、指で内壁を突かれる度に喉奥から声が漏れる。
「ひ、あっ、ン……、も、やだ……」
バーナビーの弱い箇所がわかったらしい虎徹は、そこばかり狙って突いてくる。
男を抱くのなんて初めてなくせに、虎徹がテクニシャンだなんて予想外だった。
突き上げられる度、バーナビーの先端からは雫が溢れ出て身体が震える。
でも、イけない。
快感の波が訪れて頂点を迎える直前で、虎徹は指の動きを止めてしまうのだ。勿論、わざとに違いない。
「んー?気持ち良さそうじゃねぇか、なんでヤなの?」
「やっ、ア……、ひどい……」
バーナビーはもう涙を隠さなかった。ぼろぼろと涙を零しながら、虎徹に向かって震える両腕を伸ばす。
「……来て、ください」
バーナビーの顔は涙に濡れ、綺麗な翡翠色の瞳は快感にすっかり蕩けていた。
少々虐め過ぎたかと苦笑を漏らし、虎徹は返事の代わりにバーナビーの瞼にキスを落とした。
指を引き抜き、より大きく脚を広げる。
先程まで虎徹の指が入っていた場所に、バーナビーが待ち望んでいたものの先端が触れた。
それだけで声が漏れ、バーナビーの身体が震える。
「あッ……」
「……バニー、お前、期待しすぎ」
その後に続いた虎徹の言葉はバーナビーにはよく聴こえなかった。
ズブズブと一気に奥まで貫かれ、背が大きくしなったかと思うと悲鳴のような嬌声を上げながら、バーナビーは先端から精液を飛ばした。
ぺちぺちと虎徹に軽く頬を叩かれて、バーナビーはようやく視点の焦点が定まった。
すぐ間近に虎徹の心配そうな顔が見える。
「大丈夫か、バニー」
「……あ、はい」
ずっと声を上げていたせいか口の中がからからで、それでも何とか返事をした。
「あー、びっくりした。……急にぐったりしちまうんだもん、お前」
どうやら気持ち良すぎて意識が飛んだらしい、羞恥で顔が耳まで熱くなる。
「……そんなに良かった?」
僕の顔が赤いことに気付いたおじさんは心配顔から一転、ニヤニヤしながら絡んできて、僕はキッと目に力を込めておじさんを睨みつけた。
「……それ以上、僕のことをからかうなら、窓から逃げます」
バーナビーが能力を発動しかけると、虎徹は慌てて止めに入った。この部屋は賃貸物件だ、窓を割られたらたまらない。
「わーっ、悪かったって!ごめんっ!だって、バニーがかわいいからつい……」
「……かわいい?」
バーナビーに復唱されて、地雷を踏んでしまったかと虎徹はまた少しびくついた。
「……あれ、かわいいも駄目だった?」
「…………いえ、おじさんに言われるのは、嫌じゃありません」
虎徹と視線を合わせず、小さな声で返したバーナビーの頬はまだ少し赤く染まっていて、虎徹は目尻を下げてバーナビーの頭をくしゃくしゃと撫でた。
Fin.
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